インドの都市部・ベンガルールの喧騒を離れた一角にある健診センター「NURA(ニューラ)」の扉を開けると、そこには従来の病院のイメージを覆す光景が広がる。爽やかな笑顔のコンシェルジュが出迎え、訪れる人々を患者ではなくゲストとしてマンツーマンで案内する。洗練された空間は、さながらスパや高級ホテルのような趣を漂わせている。
このNURAを展開しているのが、富士フイルムだ。2021年2月、インドに1拠点目を開設して以降、東南アジアやモンゴルなどで足場を固め、拠点数は12(26年1月時点)にまで拡大。30年までに新興国中心に100拠点まで増やす計画を掲げている。
レントゲンや内視鏡といった医療機器のハードウェア販売を主力としてきたが、なぜ自ら健診センターを運営するサービス事業に乗り出したのか。背景には、一人の社員が現場で抱いた問題意識があった。
駐在先で突きつけられた「不条理」
NURAの立ち上げを主導したのは、富士フイルムメディカルシステム事業部で新規事業を統括する守田正治氏である。医療機器の分野で約20年のキャリアを持つ守田氏にとって、転機となったのは2010年のドバイ駐在時代だった。
きっかけは、部下であり師匠のような存在でもあったインド人スタッフ、スービン氏との何気ない会話。守田氏が健康診断のために日本へ一時帰国することを伝えると、スービン氏はこう問いかけた。
「なぜ日本人だけなのか?インドにはなぜそれがないのか?」



















無料会員登録はこちら
ログインはこちら