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富士フイルム「健診センター100拠点」への野望、新興国に照準合わせた「日本式健診」を武器に、医療機器メーカーが脱ハード売りを狙うワケ

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スービン氏はこうも嘆いた。「日本人は健診でがんや心筋梗塞を予防して命をつなぐが、自分たちはそうではない。この世はアンフェア(不公平)だ」。

守田氏が他のスタッフにも話を聞くと、日本のような健康な人が定期的に受ける健診の仕組みは、多くの国ではほとんど存在しないことがわかった。「新興国にこそ健診文化を根付かせるべきだ」。守田氏の中に、使命感が芽生えた瞬間だった。

新興国開拓で先手を打つ

当初、守田氏は中東各国の政府に対し、日本式健診の導入を提言して回った。しかし、各国政府は目の前にいる「病気になった2%の患者」の治療や病院建設に手一杯であり、残り「98%の健康な人」のための予防医療に予算を割く余裕などなかった。

「政府が動かないのであれば、自社でやるしかない」。そう決意した守田氏が描いたのは、自社の機器を活用して健診というサービスそのものを提供する、というアイデアだ。あえて治療ではなく「健診」という医療の入り口を押さえようとした。

守田 正治(もりた・まさはる)/富士フイルム メディカルシステム事業部 新規事業統括マネージャー /2005年富士フイルム入社。メディカル事業の需給管理や海外マーケティングを担当。10年ドバイの営業所に赴任。メディカル事業の担当者として、中東現地法人立ち上げに携わる。16年の帰国後、新興国での健診サービス事業を構想。21年インドに初の健診センター「NURA」開設(写真:編集部撮影)

この構想を、当時、医療機器事業のトップを務めていた後藤禎一現社長に持ち込むと、ベトナムや中国での駐在経験が長い後藤氏は前向きなゴーサインを出した。それは守田氏の情熱を汲んだだけでなく、競争環境を踏まえた合理的な判断でもあった。

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