「全財産5000円」のどん底から《世界一の鍛冶屋》に…「このままじゃ人間ダメになる」と安定公務員を捨てた元レスキュー隊員の逆転劇
高円宮妃殿下御成記念碑、東京オリンピック聖火ランナーのトーチスタンド、国際自転車大会「ジロ・デ・イタリア」の記念モニュメント――。
埼玉県飯能市に、国内外から依頼が殺到する鍛冶職人がいる。加成幸男さん(57)だ。
2024年、イタリア・シチリア島で開かれた100人以上の鍛冶屋が集う国際大会「サン・マルコ・アイアン・フェスト」では金賞を受賞。日本人として初めて頂点に立った。
しかし、実は加成さんは元・消防署のレスキュー隊員。安定した公務員の職を捨て、20代で鍛冶屋の世界に飛び込んだ“異色の転身組”だった。全財産が5000円になったこともあれば、「消防士を辞めなければよかった」と何度も頭をよぎった時期もあったという。
そこから、いかにして世界の頂点に立ったのか。加成さんの工房を訪ねた。
コークスの火が燃える工房
埼玉県飯能市。池袋から西武線で約50分。富士山が見える畑に囲まれた里山にある工房では、今日もコークスの火が赤々と燃える。
真っ赤に熱した鉄をトングで引き出し、金床の上でハンマーを振り下ろす。カン、カン、カン――。金属音が響く。しばらくすると、鉄の色がオレンジから暗い赤に変わる。すかさず火床に戻し、再び熱する。そしてまた叩く。その繰り返し。少し見ているだけで、「体力の必要な仕事だろうな」と感じた。動きに無駄がない。


















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