「全財産5000円」のどん底から《世界一の鍛冶屋》に…「このままじゃ人間ダメになる」と安定公務員を捨てた元レスキュー隊員の逆転劇

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コークスが燃える様子
コークスが燃える様子(写真:筆者撮影)
作業台
作業台(写真:筆者撮影)

鍛鉄(たんてつ)とは、熱した鉄をハンマーで叩いて成形する伝統的な技術だ。門扉や手すり、家具、オブジェなど、加成さんが手がける作品は多岐にわたる。ヨーロッパでは「ブラックスミス」と呼ばれ、尊敬を集める職業である。

この日、加成さんが作っていたのは「ハンマー」だった。

「道具を作るための道具を、自分で鍛える。それが鍛冶屋の基本なんだ」

そう語る加成さんがこの道に進むまでは、紆余曲折があった。

加成幸男さん
加成幸男さん(写真:筆者撮影)

「人間としてダメになる」…消防士を辞めた訳

加成さんは1968年、飯能市生まれ。地元・名栗川の清流で釣りに明け暮れた子ども時代が、観察眼を育てたという。昔から手先が器用で、自由研究で作った発明品は全国大会で入賞した。ソフトテニス部で関東大会に出場するなど、スポーツもできた。

高校卒業後、「消防署が募集している」と聞いて、冷やかし半分の気持ちで受験した。12人の受験生のうち、ほとんどが大卒など高学歴だったが、合格したのは加成さんのみ。体力測定が全種目1位だったのだ。

消防学校での半年間は楽しかった。同期と寝食を共にし、体を鍛えて、技術を磨く。レスキュー隊の訓練にも参加。「ロープに登ってお金がもらえるなんて最高だ」と思っていた。

しかし、現場に配属されてからは様子が違った。

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