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中国の大手ファンドが自衛隊基地の土地を狙った背景には「中国政府の指示がある」、日本の閣僚を使ってその気にさせるMICE工作という巧妙な罠

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キヤノングローバル戦略研究所の峯村健司氏は「馬毛島は中国にとってうっとうしい存在だ」という(撮影:梅谷秀司)

特集「狙われた安保の島 馬毛島で何が起きていたのか」の他の記事を読む

馬毛島(まげしま)は、わずか数年前までは東京の建設会社が所有していた。その所有者と日本政府との間で島の国有化に向けた交渉がヤマ場を迎えていた頃、所有者に対し中国企業が相次ぎ接近し、融資や島の土地購入を打診していた疑いがあることが東洋経済の取材で見えてきた。いったい何が起きていたのか。中国の政治や安全保障に詳しいキヤノングローバル戦略研究所の上席研究員で、同研究所中国研究所長も兼務する峯村健司氏に分析してもらった。

――2018年秋に、中国の不動産会社が馬毛島のオーナー企業に接触し、山中湖畔の別荘地を購入したいと打診し、オーナー企業関係者は中国に招かれ接待を受けたそうです。その後に中国側が来日した際に山中湖畔のホテルで会食すると、「実は山中湖よりも馬毛島の土地に興味がある」と打ち明けられたことがわかりました。

中国共産党政府が裏にいる動きだろう。中国企業はこういう場合、共産党政府の手足として動いてるとみたほうがいい。アプローチの仕方を見ても、最初は山中湖の土地に興味があるような形で近づくことで油断させている。中国に招き飲食もさせている。統一戦線工作的なアプローチだ。油断させておいて少しずつエスカレーションしてくる。

ただ今回の件では、中国側はエスカレーションを急ぎすぎていたように感じる。

にじむ中国側の焦り

――馬毛島のオーナー企業側は馬毛島についての打診に驚き、警戒したようです。

中国側がなぜ焦っていたのかというと、日本政府による馬毛島の国有化が急ピッチで進もうとしていたからだろう。私も馬毛島が国有化されたいきさつについては取材してきたが、当時の政府や防衛省幹部らは国有化を手際よく進めていた。

中国側が少ない接触回数でこういう話を民間企業に切り出した背景には、日本政府の動きを踏まえた焦りがあったと思う。中国側のやり方としては雑な感じがする。余裕があるなら、山中湖畔の土地をそうとう高値で実際に買い取ることで、馬毛島のオーナー企業側に一定の利益を与えるような形にまずは持っていくことも考えられる。

――民間の企業人がそうした動きを見抜くのは難しそうですね。

中国側のMICE(マイス)工作と呼ばれる動きだ。Mは金(Money)、Iはイデオロギー(Ideology)、Cはハニートラップ(性的誘惑)も含む妥協(Compromise)、そしてEはEgo(自己顕示欲)。これらを駆使しながら近づこうとする。今回の件の場合、馬毛島のオーナー企業側の警戒心が高く、ある意味、個人のセンスで乗り切ったという感じではないだろうか。

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