〈過去最大赤字〉資生堂"10年の魚谷劇場"静かな幕引き━━海外ブランド買収に失敗、「TSUBAKI」日用品事業を売却、魚谷改革とは何だったのか
「当初は日本の宝をちゃんと再生し、世界一にしてほしい思いだった」
プロ経営者として社長・会長職を10年にわたって務めてきた魚谷雅彦氏(71)が、2025年12月末に資生堂を去った。元役員は、苦渋の表情で魚谷氏の退任について冒頭の言葉を漏らした。
魚谷氏は24年12月に会長CEOから退任後、シニアアドバイザーとして財界活動や人材育成に携わってきた。しかし「魚谷氏に委託していた役割について社内体制が整った」(資生堂広報)ことから退任に至ったという。
当初、資生堂は魚谷氏の退任について公表しておらず、メディアの取材で2月に明らかになるという“静かな退場”となった。
2期連続で赤字転落
「あんなに自己愛が強い人だとは思わなかった」
別の元役員は魚谷氏について、こう辛辣に評価する。財界人にとってステータスの最高峰である、日本経済新聞の名物連載「私の履歴書」。1カ月にわたり財界人が半生を語る場に、25年7月回は魚谷氏が登場した。
魚谷氏は連載の中で、独自の経営理念「PEOPLE FIRST(ピープルファースト)」について熱く語り、23年には銀座に「Shiseido Future University」を開設し、自ら講師として人財育成で恩返しをしたいと持論を展開した。
資生堂の足元の経営状況は深刻だ。24年12月期は主力である中国市場の苦戦に加え、海外ブランド売却代金の一部に回収リスクが生じたことで128億円の引当金を計上。これが響き、最終損益は108億円の赤字に転落した。24年9月末付で美容部員など1477人の早期退職を実施している。
続く25年12月期は、19年に約900億円で買収したアメリカのスキンケアブランド「ドランクエレファント」の減損損失が重く、過去最大の赤字に転落する見通しだ。25年11月に発表した希望退職プログラムでは、257人が退職することとなった。
苦境の資生堂と、元CEOである魚谷氏の温度感の差は明らかだ。元役員があきれ、ため息をつくのも無理はない。




















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