ネタニヤフ政権「イスラエル史上、最も右寄り」の訳 イスラエルの選挙制度に問題がある

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イスラエル パレスチナ
世界の目を再び引きつけることになったパレスチナ問題。今回はイスラエルの側の視点から考えてみることにしましょう(写真:Andreanicolini/PIXTA)

2023年10月、ロシアとウクライナの戦況が膠着状態になる中、世界はもう1つ別の戦闘を抱え込みました。イスラム武装組織ハマス(正式名称はイスラム抵抗運動)とイスラエルの衝突です。

戦闘のきっかけとなったのは2023年10月7日、ハマスがイスラエルに陸・海・空から一斉攻撃を仕掛け、イスラエル兵や民間人を殺害し、多数の人質を取ったことにあります。これは国際人道法違反です。国際人道法は民間人を標的とすることを禁じています。当然ながらハマスは国際社会から強く非難されました。

もちろんハマスのやったことは許されることではありません。しかしこれまで何があったのか、70年余りの中東の歴史を見なければなりません。

ハマスの目的はなんだったのか。「パレスチナ問題」を忘れさせないことではないのか。

世界の目を再び引きつけることになったパレスチナ問題。本記事ではイスラエルの側の視点から考えてみることにしましょう。

世界はパレスチナを忘れていた

今回のハマスによるテロは、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ政権がパレスチナを追い詰め過ぎたことも一因だろうと指摘されています。

2022年のイスラエル総選挙で、ネタニヤフが率いる右派政党「リクード」が第1党になり、ネタニヤフが首相に返り咲きました。自らの汚職問題で1年半前に政権を失ったのに、奇跡の復活です。

1993年のオスロ合意により、まずヨルダン川西岸はA地区、B地区、C地区に分け、A地区はパレスチナ人の100%自治を認める、B地区は、行政はパレスチナ人、警察はイスラエルが主導、C地区は行政も警察もイスラエルと決められていました。

それなのにネタニヤフ政権は、対テロ政策と銘打ってさまざまな攻撃をしたり、「ここは自分たちの土地だ」と勝手に入っていって住宅をつくったり、パレスチナ人の土地をどんどん奪っていきました。

ネタニヤフ政権になる前は、パレスチナ暫定自治区への入植を認めていませんでした。アメリカのビル・クリントン政権時代、あるいはバラク・オバマ政権時代は、アメリカもイスラエルの入植を一切、認めていません。

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