「熊を殺すな!」「可哀想だ!」…北海道でヒグマによる事件が発生→駆除もクレーム殺到。安全圏の遠方からクレームを入れる人々の心理とは?

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北海道の鈴木知事は苦情や批判の声に対して、命の危険を感じながらハンターの人たちが向き合っているとして、「電話をする前にそれをしっかり考えていただきたい」と諭した(写真:gigello/PIXTA)

北海道福島町で7月、新聞配達員の男性を襲って死亡させたクマが駆除されたことをめぐって道に抗議が殺到している。

道外から殺到する非難の声

鈴木知事は7月25日の記者会見で、道に苦情や批判の連絡が相次いでいることを明らかにした。ヒグマ対策室に「ヒグマを殺すのはかわいそうだからやめてほしい」という声が多数寄せられており、2時間以上の長時間に及ぶ例も少なくないという。職員がその対応に追われており、「これはもう仕事になりません」と述べた。

また、道民からというより道外から多くの電話がかかってきていることを踏まえ、人が亡くなっており、「人身事故の防止のために、適正に行われた捕獲については、地域の皆さまの安全生活を守るため必要」と弁明。命の危険を感じながらハンターの人たちが向き合っているとして、「電話をする前にそれをしっかり考えていただきたい」と諭した。

同様の騒動は2023年にもあった。同年10月に秋田県美郷町でクマ3頭が駆除されたことについて、県に抗議電話が殺到したことが賛否を呼んだ。当時の報道によれば、「クマを殺すなら、お前も死んでしまえ」「お前らみたいな能力のないやつがなぜ県庁で働いているんだ」といったもはやカスタマーハラスメントとしか思えないような発言があった。

このような現地の人々の実情をまったく考慮しない独りよがりとも思える、強烈な反発がなぜ噴き上がるのだろうか。それは2023年の報道で紹介されたクマの駆除に抗議する女性のコメントに如実に表れている。

その女性は「みんな野生の生き物って、癒やしてるわけじゃない。クマは怖い汚い恐ろしいというイメージを植え付けられている。悪者じゃないよ、そう思わない?」と言ったからだ。

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