西欧が支配する世界秩序が終わりを迎えている、新興国など世界が西欧に突きつけているのは戦争による終焉か、より平和的な体制移行だ(後編)

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アメリカを中心とする西欧社会は、新興国など世界からの反抗・追撃に直面している(写真・Pavel Chagochkin/PIXTA(ピクスタ)

前編「戦後続けてきた日本の平和外交を今こそ発揮すべきだ」から続く

2025年は、戦後体制の曲がり角として歴史に銘記されるかもしれない。戦後の歴史は、大国アメリカによる一国覇権によって進んできたのだが、それが終わりつつあることを示した年であったからだ。

第2次世界大戦後、唯一の大国として君臨し始めたアメリカは、戦後政治を一人で背負ってきた。大戦末期、戦後政治の根幹となる、国際連合の創設、戦後経済の柱となるIMF(国際通貨基金)体制の創設と、世界はすべてアメリカを中心に回ることになったのである。

アメリカの「帝国」の終わり

17世紀にメイフラワー号でヨーロッパ大陸から逃げるようにアメリカに上陸した清教徒たちの小アメリカは、20世紀中葉に世界の大国アメリカとなった。

しかし驕れるものも久しからず、21世紀になり、アメリカは次第にその力を失い始める。1991年のソ連崩壊後、アメリカは一時期〈帝国〉といわれる世界単独支配を実現する。その当時は「歴史の終わり」とも言われ、アメリカの自由主義世界こそ世界の歴史の到達点だとさかんに喧伝された。

しかし、この時始まった自由貿易という制度こそ、トロイの木馬だったのだ。世界中に資本、技術、労働者、工場が自由に移動することで、アメリカがもっていた絶対的優位は次第に減少していく。

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