西欧が支配する世界秩序が終わりを迎えている、新興国など世界が西欧に突きつけているのは戦争による終焉か、より平和的な体制移行だ(後編)
戦後生まれた国際連合は、本部をアメリカにおき、アメリカを中心とした支配体系の要となってきた。国際連合は、最初から中立のものではなく、西側を守るために存在していたといっても過言ではない。
25年9月末の各国代表の国連演説で、アフリカ諸国の代表が述べていたことはそれを象徴している。アメリカのドルがアフリカを縛ってきたように、国連はアフリカを縛ってきたというのである。
アメリカの政治的優位の崩壊
アジア・アフリカ諸国は戦後独立を約束されながら、反故にされ、宗主国である西欧諸国との長期の独立戦争ののち、独立を達成していった。戦争とならない場合には、フランスの西アフリカ地域のように、独立と引き換えに、傀儡政権と収奪を強制され、半植民地状態で存在することになった。
こうした国々が次第に固まりはじめ、G20(主要20カ国・地域)やBRICSなどとして力を持ってきたことは、国際連合のあり方そのものに大きな影響を与え始めている。勢力のバランスが新興国に移ることで、国際連合における常任理事国のあり方が問題となり始めた。

国連改革の声が高らかに叫ばれているが、西欧社会による支配の延長線上の改革であれば、問題はけっして解決しないところまで新興国の要求は高まっているのだ。
ちょうど100年ほど前、ドイツの歴史学者であるオットー・シュペングラー(1880~1936年)が『西洋の没落』という書物を書いた。それより150年ほど前、世界を支配し始めたイギリスの歴史家であるエドワード・ギボン(1737~1794年)が『ローマ帝国衰亡史』という書物を書く。ギボンはイギリスの繁栄が本当に永遠に続くものだろうかという疑問から、ローマ帝国の衰退の歴史書を書いたのだ。


















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