台湾侵攻、習近平を待ち受ける「泥沼」の予兆。難攻不落の地形と、戦死を許さない"一人っ子兵士"の弱点

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台湾 台北
不透明な専制国家が抱えるリスクと勝算を解き明かします(写真:Masa/PIXTA)
台湾侵攻による米軍後退と日本の属国化は日本にとって最悪のシナリオです。しかし、習近平政権の前には、130kmの海峡という天然の要塞と、戦死を許さない「一人っ子兵士」の弱点があります。本稿では『世界を解き明かす 地政学』より一部抜粋のうえ、不透明な専制国家が抱えるリスクと勝算を解き明かします。

最も起こっては困るシナリオ

私の友人で2010年代に中東の地政学リスクの分析を担っていた元高官がいます。彼によると、イスラエルのネタニヤフ首相に情報機関が上げる情勢分析のリポートは、

①今後、最も起こりそうな展開

②可能性は高くないが、実現すると最も困るシナリオ

の2つを柱にしていたそうです。

これは、間違った見立てで敵の奇襲を許してしまった場合、国の存亡に直結する国ならではの危機管理といえます。そういう分析手法で東アジアの安全保障環境を考えると、日本にとって万が一にも実現したら最も困る中長期のシナリオは何でしょうか。

それは中国が台湾を短期間で武力制圧し、米国が西太平洋地域での影響力を落とす展開にほかなりません。

中国が台湾を制圧することがあれば、中国軍の長距離ミサイルや空軍、海軍戦力が展開され、島全体が「不沈空母」にされることになります。中国軍が引いた「第1列島線」という防衛ライン内の支配力が格段に強まり、ここで米軍などの艦船が活動するのも難しくなります。

この結果、安保環境の厳しさで軍事費が高くなるのを嫌った米政権が、太平洋の勢力圏を分ける取引(ディール)を中国と交わす可能性も高まります。

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