なぜ、1995年以降、日本がデフレ的になったかというと、企業が値上げをしなかったからである。
なぜ、値上げをしなかったからかというと、価格支配力がなかったからである。そして、95年時点の価格が高すぎたからである。さらに、不況になったから、消費者もカネを持っていなかったからである。
一方、企業の価格設定行動は、コロナショック以降、一見、変わったように見える。これは前回までに議論したところであるが、消費者を裏切るようなどさくさ値上げ、リベンジ値上げをしている。海外の観光客からぼったくる。
しかし、結局、日本企業行動の第一の特徴、「横並び行動」は変わっていない。どさくさ値上げをするときも、リベンジ値上げも、ぼったくりですら横並びで、自分だけでやる度胸はないくせに、赤信号みんなで渡れば怖くないという風に、群れれば何でもできてしまう、という恐ろしいまでの、弱虫の群衆行動である。
そして、日本企業のもう一つの特徴は、そもそも「価格設定を戦略的に考えない」ことである。
「横並び」か「ダンピング」
経営学的には、「価格を戦略変数としない」と言える。価格戦略があるとすれば横並びであり、逆に言えば、横並びが戦略だから、誰もダイナミックなプライスリーダーにならず、価格設定行動は常に受け身になる。
日本企業は、価格に関心がない。日本は価格鈍感企業の集合なのである。
95年以降、企業が価格を固定してしまい、インフレ率がゼロ近辺に粘着してしまった(“物価の権威”渡辺努氏の問題意識の中心である)のも、これと同じ行動原理からきていたのだ。
実は、「価格を戦略変数としない」という日本企業の行動原理で、80年代以降の日本経済の謎のほとんどは説明できるのだ。
やってみよう。
まず、インフレにならなかったのは、ぼったくるために価格を引き上げるということをしなかったからだ。とことんまで同じ価格で頑張る。同様に、価格を引き下げるのは例外的な場合だけだ。





















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