ケネス･ロゴフ氏｢2026年に入るとこれまで以上に世界は不安定化する｣｢株式市場の乱高下を警戒すべきタイミングに入っていく｣

ケネス・ロゴフ教授（写真：ブルームバーグ）

特集「2026年大予測②株・マネー編」の他の記事を読む

2025年の1年間は、世界の株価、資産価格が急騰した。しかし、驚くべきはその点ではない。4月にドナルド・トランプ米大統領が「解放記念日」に相互関税を発表して一時的な動揺があったことを除けば、投資家がリスクをほとんど懸念しなかったことだ。焦点は、26年にこの状況が変わるかどうかである。

2026年は暴落を懸念し始める年に

チェコ・プラハに本拠を置く国際的NPO「プロジェクト・シンジケート」は多くの有力者の論評・分析を配信しています。「グローバルアイ」では、同シンジケートのコラムから厳選して翻訳・配信。本文内の敬称略

3年間にわたる驚異的なリターンの後、市場は持続的な熱狂期のあとに必ず続く暴落を懸念し始めるだろうことが予想される。AI（人工知能）は大きな可能性を秘めているかもしれない（労働者にとっては必ずしもそうではないが、少なくとも企業にとっては）。しかし、鉄道や内燃機関からインターネットに至るまで、変革をもたらす技術の長きにわたる歴史は、好況と不況の繰り返しによって特徴づけられてきた。

初期参入企業はしばしば劇的に崩壊し、後に「正しい方向性を見出した」第2世代企業に取って代わられる。IBMがかつてコンピューティング分野で経験したように、支配的な立場になることがあっても、長期間の支配が保証されることは決してない。

投資家がAIが成長と企業利益に与える影響を評価するのに苦慮する中、今後数年間で世界的な株式市場暴落が起こる確率は不快なほど高いように見える。では売却すべき時なのだろうか。