上昇する金価格がどこかで止まる懸念はないのか 最高値更新の可能性の一方で一時的に暴落も?

金価格が最高値圏で推移している。2月25日には、ニューヨーク商品取引所で先物価格(4月物)が1トロイオンス(約31.1グラム)=2974ドルをつけ史上最高値を更新。その後は一時利益確定売りなどに押されたものの、堅調な値動きが目立つ。
「トランプ関税の不透明感」がある限り下がりにくい?
金の価格は昨年11月5日に行われたアメリカの大統領選挙後も、しばらくは1トロイオンス=2600ドル台を中心に、値動きが一定の枠内に収まるレンジ相場が続いていた。
その後、今年に入ってからは徐々に騰勢を強める格好となり、1月、2月と連続で最高値を更新。買いの勢いが衰える気配は感じられない。こうした上昇の背景にあるのが、ドナルド・トランプ大統領の政策に対する先行き不透明感の高まりと、それに伴う、安全資産としての需要増加にあることは、疑いの余地がない。
トランプ大統領が、カナダやメキシコの全製品に対して25%、中国に対しては10%の追加関税を賦課すると正式表明したのは2月1日だが、その後は「朝令暮改」のありさまだ。
また、ウクライナ問題に関しても、トランプ大統領は、ロシアとの2国間で停戦交渉を唐突に進め、一方の当事者であるウクライナのゼレンスキー大統領には、「選挙を経ていない独裁者」と強烈に批判。2月末のウクライナとの首脳会談はまさかの決裂となり、世界中を驚かせた。
ではどうして、「トランプ関税」に市場の注目が集まると、金市場に資金が入ってくるのだろうか。実は、関税の賦課によって景気が悪化するとの懸念が、安全資産としての金に対する価値を高めているわけでは決してない。
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