マーケットをめぐる最大の焦点は、日米の金融政策だ。パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長の任期は5月15日まで。トランプ政権は11月3日の中間選挙を控え、議長人事を含め、利下げ圧力を強めるだろう。
インフレが高止まりする中での過度の利下げは、金融政策への信認を低下させ、さらなるインフレとドル安を招く。利下げが限界に近いと指摘する声も強まっているが、その場合は長期金利が反発し、株高を支えた金融緩和政策が終わるおそれがある。
微妙なバランスが求められる
日本の高市早苗政権は積極財政で需要を喚起し、景気を刺激するシナリオを描く。日銀利上げの牽制に動くとの思惑も根強い。ただし、財源の裏付けのない財政拡張策は、国債利回りを上昇させ、人手不足など供給制約下での需要増加は物価上昇を加速する。利上げの遅れも、円安を通じ物価を押し上げる。
トランプ関税下でも世界経済は底堅く推移したが、影響がなくなったわけではない。関税は企業の生産効率を低下させ、コスト増を通じ、成長率の鈍化や、インフレの高止まりを引き起こしている。
日米の金融政策には拡張的な財政政策との微妙なバランスが求められる。日本では、高市政権が夏ごろに発表するとされる成長戦略が、長年の課題である供給力の向上を実現するものか、問われることになる。




















無料会員登録はこちら
ログインはこちら