パレスチナ・ガザ地区の火種を生み出したトランプ氏がアメリカ大統領に再び就くことは「恐ろしいめぐり合わせだと言わざるをえない」と語る鈴木啓之・東京大学特任准教授。2025年以降の中東情勢などを聞いた。

――パレスチナ・ガザ地区の戦闘は収束の兆しが見えません。そもそもハマスはなぜ昨年10月、イスラエルを攻撃したのでしょうか。
昨年10月のハマスによる攻撃は、イスラエル人のみならず、ガザに暮らす多くのパレスチナ人にとっても青天の霹靂だったはずだ。
ハマスなどのパレスチナの戦闘員がイスラエルに侵入して1200人近くを殺害し、およそ250人の人質をとった。これだけ大きな攻撃をしてしまえば、イスラエルが大規模な報復を行ってくるということは、ガザの人々も当然予測していただろう。
ハマスには、その場限りの戦略しかなかったように見える。
しかし、「狂信的テロリスト集団が、イスラエルに無謀な戦いを挑んだ」といった安直なストーリーでは、出来事の理解を妨げてしまう。
本質を理解するために必要なこと
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