2025年、親イスラエル的立場をとるトランプ氏が、アメリカの次期大統領に就任する。中東情勢はどうなるのか。イラン研究の第一人者である田中浩一郎・慶応大学教授に聞いた。
――2025年、トランプ氏が次期アメリカ大統領となります。中東にどのような影響をもたらすでしょうか。
イスラエルにフリーハンドを与えれば、イスラエルが問題を「片づける」と、トランプ氏は考えているように見える。
しかし、イスラエルを放任することは、パレスチナとの対立を、むしろ深めることになる。問題の恒久的な解決は遠のくだろう。
トランプ氏が第1次政権時に示した中東政策は、イスラエルが国際法に違反して進める入植地の拡大や、エルサレムをイスラエルの首都とすることなどを認めるものだった。エルサレムの処遇については双方の交渉によって決められる、としたオスロ合意を無視している。
このようにイスラエルの一方的な行為をアメリカが追認したことで、パレスチナ側の反発が高まった。
その結果、イスラエルと敵対関係にあるハマスや、ハマスと連帯するヒズボラなどによるイスラエルへの攻撃が発生した側面もある。
トランプ氏は中東から手を引き、アジアでの影響力を強めようとしている。が、イスラエル例外主義ともいえる政策の結果、今後、イランとイスラエルの間の交戦が常態化し、むしろアメリカが中東に足止めされる可能性がある。
一方、トランプ氏本人は思想的には、シオニスト(ユダヤの民族国家樹立を求める人々)を自称していたバイデン氏ほどの、不動のユダヤ人擁護者ではないかもしれない。
戦闘の烈度が高まる危険性
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