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報復の連鎖続き、イランは核保有を目指す可能性 日本はアメリカに追従しない「独自姿勢」が必要

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2025年、親イスラエル的立場をとるトランプ氏が、アメリカの次期大統領に就任する。中東情勢はどうなるのか。イラン研究の第一人者である田中浩一郎・慶応大学教授に聞いた。

イスラム組織ハマスのトップが暗殺された2024年7月、イランの首都・テヘランにはパレスチナの国旗やヒズボラの旗を持つ多くの人たちが集まった(写真:Arash Khamooshi/The New York Times)

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パレスチナ・ガザ地区のイスラム組織ハマスが2023年10月7日にイスラエルを奇襲攻撃したことを発端として、イスラエルはパレスチナや周辺諸国に攻撃を続けている。だが、イスラエルの国際法違反を、日本を含む国際社会が積極的に対処してこなかったことも、ハマスの攻撃の背景にはある。今後の中東情勢や日本に求められる姿勢について、慶応大学の田中浩一郎教授に聞いた。

――2025年、トランプ氏が次期アメリカ大統領となります。中東にどのような影響をもたらすでしょうか。

イスラエルにフリーハンドを与えれば、イスラエルが問題を「片づける」と、トランプ氏は考えているように見える。

しかし、イスラエルを放任することは、パレスチナとの対立を、むしろ深めることになる。問題の恒久的な解決は遠のくだろう。

たなか こういちろう 1961年生まれ。東京外国語大学外国語学部ペルシア語学科卒業。外務省在イラン日本国大使館専門調査員、国際連合アフガニスタン特別ミッション政務官、日本エネルギー経済研究所常務理事兼中東研究センター長などを経て、現在は慶応義塾大学大学院政策・メディア研究科教授(写真:本人提供)

トランプ氏が第1次政権時に示した中東政策は、イスラエルが国際法に違反して進める入植地の拡大や、エルサレムをイスラエルの首都とすることなどを認めるものだった。エルサレムの処遇については双方の交渉によって決められる、としたオスロ合意を無視している。

このようにイスラエルの一方的な行為をアメリカが追認したことで、パレスチナ側の反発が高まった。

その結果、イスラエルと敵対関係にあるハマスや、ハマスと連帯するヒズボラなどによるイスラエルへの攻撃が発生した側面もある。

トランプ氏は中東から手を引き、アジアでの影響力を強めようとしている。が、イスラエル例外主義ともいえる政策の結果、今後、イランとイスラエルの間の交戦が常態化し、むしろアメリカが中東に足止めされる可能性がある。

一方、トランプ氏本人は思想的には、シオニスト(ユダヤの民族国家樹立を求める人々)を自称していたバイデン氏ほどの、不動のユダヤ人擁護者ではないかもしれない。

戦闘の烈度が高まる危険性

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