12月8日、シリア最大の反体制勢力が首都ダマスカスを占拠。2000年から独裁政権を敷いてきたアサド大統領はロシアへ亡命した。今回の事態の背景と関係国への影響、そして今後の見通しについて専門家に聞いた。
――シリアで何が起きているのでしょうか。
シリアのアサド政権は、隣国イスラエルと戦闘状態にある一方、同じく隣国のレバノンとは共闘していた。しかし、11月27日にレバノンがイスラエルとの休戦に合意。この合意でアサド政権の緊張状態が緩んだ隙を狙って、反体制勢力が一気に攻勢を強めた。
アルカイダ系組織が首都ダマスカスを掌握
アサド政権はロシアとイラン、そしてレバノンのイスラム教組織ヒズボラの3つを後ろ盾としながら反体制勢力と戦ってきた。
その反体制勢力の中で最大の勢力が、今回首都ダマスカスを掌握したシャーム(シリア)解放機構(以下、HTS)というグループだ。
シリアと反体制勢力の戦闘は2020年ごろから膠着状態にあった。が、2022年にロシアはウクライナ戦争を始め、2023年10月以降はイランとヒズボラが、イスラエルとの戦闘で大きなダメージを受けた。
こうしてロシア、イラン、ヒズボラというシリアの後ろ盾3つがともに弱体化した。
シリア自体も、イスラエルからの連日の爆撃によって相当な打撃を受け、疲弊していたタイミングだった。
――HTS(シャーム解放機構)とはどのような組織ですか。
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