12月8日、シリアのアサド政権が崩壊した。「アメリカとイスラエルへの対抗」という共通の目的でシリアと同盟関係にあったイランにとって、アサド政権の崩壊は大きな打撃となっている。イランをとりまく今後の見通しについて、坂梨祥・日本エネルギー経済研究所中東研究センター長に聞いた。

2024年10月、イランがイスラエルにミサイル攻撃を行った。双方の攻撃の応酬はエスカレートしている(写真:Wisam Hashlamoun/Anadolu via Getty Images)
2023年10月7日、パレスチナ・ガザ地区のイスラム組織ハマスがイスラエルを攻撃した。これをきっかけに中東での緊張は拡大しつつあり、2024年12月8日にはシリアのアサド政権崩壊につながった。2025年以降の中東はどうなるのか、坂梨祥・日本エネルギー経済研究所中東研究センター長に聞いた。
――アサド政権の崩壊は、イランにどのような影響をもたらしますか。
イランにとってシリアのアサド政権は、「アメリカとイスラエルへの対抗」を掲げる同盟相手だった。アサド政権の崩壊は、イランが重要な同盟相手を失ったことを意味する。
それだけではない。イランにとってシリアは、イスラエルに抵抗する勢力を支援する重要な拠点でもあった。たとえば1982年のイスラエルによるレバノン侵攻以来、在シリアのイラン大使館を拠点に、レバノンのシーア派勢力ヒズボラを支援してきた。
このような支援は、イランにとって「前方防衛」の一環でもあった。イランは今、防衛戦略の見直しを迫られている。
日本がエネルギーを依存するペルシャ湾地域の混乱も
――中東での混乱が広がる可能性もあるのでしょうか。
アサド政権の崩壊によって、中東のパワーバランスは大きく変わりつつある。イスラエルは自信を深め、トルコも存在感を高めている。
この記事の特集
トピックボードAD
有料会員限定記事
無料会員登録はこちら
ログインはこちら