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アメリカと核交渉中のイランをなぜ狙った? イスラエルの「3つの狙い」、中東情勢の行方を防衛大名誉教授が解説

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イランによる報復攻撃で、イスラエルの市街地にも大きな被害が出ている。双方で一般市民も犠牲になっている(Avishag Shaar-Yashuv/The New York Times)

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6月13日、アメリカと核交渉を重ねていたイランが突如、イスラエルによる空爆を受けた。イランにとっては不意討ちで、核関連施設の破壊や軍・政府要人の死亡だけでなく、一般市民にも大きな被害が出ている。
これに対するイランの報復では、イスラエルの都市部にも被害が出るなど、双方で前例のない規模の攻撃が続く。
今後の情勢や経済への影響などについて、防衛大学校名誉教授の立山良司氏にインタビューを行った(インタビューは6月16日にオンラインで実施し、17日までに更新された情報を一部追加しました)。

イスラエル側にある「3つの狙い」

――今回のイスラエルによるイランの攻撃は、想定内でしたか?

正直に言って驚いた。イスラエルによる攻撃の可能性はあると考えていたが、タイミングについてはイランと同じく、アメリカと核交渉が続いている間はないだろうと思っていた。

――イスラエルと核交渉の最中だったアメリカは、攻撃に関与していないことを強調しています。

アメリカはイスラエルに対して青信号は出していないだろうが、赤信号を出していないこともたしか。「そこまで言うならやりなさい」という感じだったのではないか。

トランプが、イスラエルのイラン攻撃計画を事前に知っていたという報道もある。実際、事前に外交官や米軍家族の退避を認めていた。一定程度イスラエルの攻撃可能性はわかっていたし、通告も受けていただろう。

――イランは昨年秋にも、イスラエルからの攻撃でダメージを受けています。イランの継戦能力は、どの程度あるでしょうか。

イスラエルの報道によれば、イランには、3000発ほどのミサイルがあるとされているが、今回実際に使用されるのは1000発ほどとみられている。現時点で300発近くが使われた。同じペースでいけば、あと700くらいだろう。

そもそも1000発が正しいかわからないが、そうだと仮定すると、この規模の攻撃が続くのはせいぜい1週間から10日ではないか。もしくは能力を温存して小出しにする可能性もある。

――イスラエルは、ガザやレバノンなどとの戦争と同時並行で、イランとの戦争を続けられるのでしょうか。

イランに関しては空軍のみで、陸上部隊はかかわっていない。陸上部隊を投入しているガザとは、戦力の役割分担ができている。さらにアメリカはジェット燃料とかミサイルなどを供与していて、武器は無尽蔵といえる。

ただ、そうはいってもイランまでの飛行距離は約2000キロと遠く、航空機には整備も必要だし、操縦できるパイロットにも限りがあり、疲弊する。このレベルの応酬を1、2カ月続けることは難しい。

今の規模の対立はいずれおさまるが、レベルが下がった段階で続くだろう。

――イスラエルの狙いは、何なのでしょうか。

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