長期化する戦争は、イスラエル経済にどのような影響を与えているのか。イスラエル在住ジャーナリスト、曽我太一氏の分析をお届けする。
イスラエル国内では、「戦争」が日常化し、街中の至る所に貼られた人質の写真の一部は色あせたり破れたりし、貼り替えられないものもある。写真の前で足を止める人はほとんどいない。
カフェやショッピングモールは活気にあふれ、ガザで今も軍事作戦が続けられていると感じる場面は少ない。
多くのイスラエル人が気分転換にと海外旅行に足を運び、人気観光地に向かうエルアル航空はつねに満席で、価格高騰を抑えるためにフィックス価格になった路線もある。
1人当たりGDPは前年比マイナス
しかし、戦争は確実にイスラエル経済をむしばみ始めている。
イスラエルの2023年の経済成長率(GDP成長率)は2%だが、1人当たりにするとマイナス0.1%に陥っている。
2023年10月の軍事衝突以降、廃業が年5万9000件へ増えた一方、新規開業は年3万6000件にとどまった。これまでは廃業が年4万件、新規開業が年5万件のペースだったので、廃業が開業を上回るようになった。
イスラエル安全保障研究所(INSS)によると、2024年9月時点の財政赤字は、対GDP比で8.5%に達した。当初の予想をほぼ2ポイント上回り、1年前の1.5%と比べて大きく増加した。
経済や今後の政治的な不安要素から、大手格付け会社のS&Pやムーディーズ、そしてフィッチはイスラエルの格付けを下げている。
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