
山本昌弘(やまもと・まさひろ)/1983年滋賀県生まれ。英会話教室などを展開するECCやおそうじ本舗を経て2020年にフランチャイズビジネスインキュベーション創業。「鰻の成瀬」以外にも、よもぎ蒸しサロンなどのフランチャイズ事業を手がける(撮影:尾形文繫)
欧州連合(EU)は6月末、ウナギ属のワシントン条約への掲載を提案した。採択されれば、輸出国は生きたウナギや加工品の貿易の際に許可書の発行が義務づけられる。
2024年、日本はウナギの国内供給量の約7割を輸入が占めた。掲載された場合、手続き上の手間が増えることで、飲食店やスーパーなどの仕入れにコスト高などの影響が出るおそれもある。
外食店「鰻の成瀬」は、国内最大のウナギチェーン。2022年9月の1号店開店から猛スピードで店舗網を拡大させ、2025年7月時点で390店を突破した。主に海外から一次加工したウナギを仕入れ、うな重を提供する。そのためワシントン条約への掲載が決まれば、同店も一定の影響を受ける可能性がある。さらに、足元ではコメ不足も懸念事項だ。
主原料の安定調達に暗雲が立ち込める中、今後どう事業を展開していくか。運営会社のフランチャイズビジネスインキュベーション、山本昌弘社長を直撃した。
ウナギの安定調達は容易でない
――シラスウナギ(養殖に用いるニホンウナギの稚魚)の漁獲量や取引価格が年によって乱高下するなど、ウナギの調達には不安定な部分があります。「鰻の成瀬」は店舗数が急増していますが、現在のペースで出店を続けますか。
国内は400店舗規模を維持していきたい。増やし続けて店舗同士でカニバリゼーション(食い合い)が起きても仕方がないし、ウナギの供給を考えても加盟店にリスクを負わせるわけにはいかないからだ。
ウナギにはよくわかっていないことが多く、安定調達・安定供給は簡単ではないと思う。稚魚が減った減ったなんて言われていたが、今年は十数年ぶりの豊漁だ。減った理由も増えた理由もわかっていない。計算しにくく、不安定な部分がある。
不漁になると原料価格が上がるし、輸入に頼っている分、円安になれば影響は重い。今年は稚魚が大漁で、秋以降は価格が下がってくるだろうが、ワシントン条約がどうなるかわからないのでそれ次第なところもある。
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