
随意契約の備蓄米は8月末が販売期限だが小売店に渡るのが遅れ気味(写真:ロイター/アフロ)
地震はいつ起きてもおかしくないものだが、昨年8月に宮崎の日向灘で地震が起き、南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)が発表されたことは、米流通において最悪のタイミングだった。
買いだめが発生するとスーパーの棚からコメが消えた。それ以前から前年産の在庫が払底し始め、夏場の不足が懸念される最中だったからだ。2023年産のコメは気候の影響で出回り量が少なかった。秋の収穫前にコメを確保しようとする動きや、業者間取引での価格上昇がすでに起きていた。
買いだめで起きた夏の米払底は「令和の米騒動」と呼ばれたが、振り返れば引き金にすぎない。1年後には政府が備蓄米の大半を放出する異例の事態に発展した。
じわじわ下がってから急騰
ロングスパンで消費者物価指数の推移を捉えてみれば、米類のじわじわ下がった末に倍に急騰した線は異様だ。グラフの基準点である1995年11月は、国が米流通を管理する食糧管理法が廃止された時点。長年のひずみが噴出したかに映る。

昨年前半に平均5キログラム=2000円台前半だったコメの販売価格は、一時4000円台と倍になった。今回の価格急騰はどのようにして起きたのか。
昨年8月にコメが払底すると、新米の争奪は激化した。
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