有料会員限定

〈インタビュー〉マツダ技術トップが「EV以外の未来」を示す真意・・・ HV開発からロータリー復活まで、「スモールメーカーの生き残り策」を語り尽くす

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

有料会員限定記事の印刷ページの表示は、有料会員登録が必要です。

はこちら

はこちら

縮小
梅下隆一(うめした・りゅういち)/1965年生まれ。88年マツダ入社。商品企画本部長、カスタマーサービス本部長などを経て、2021年アメリカ法人副社長、23年常務執行役員、電動化推進担当。25年取締役専務執行役員、CTO研究開発統括に就任。毛籠勝弘社長から「Vacation is over(休暇は終わりだ)」と呼び出されたという(撮影:鈴木紳平)
内燃機関に強みを持つマツダ。ただ、排ガスなど環境規制の強化で、代名詞だった「ロータリーエンジン」はすでに量産を終了した。
2026年に国内投入予定の新型「CX-5」では根強い人気のあるディーゼルエンジンのモデルは廃止され、ストロングハイブリッドやEV(電気自動車)の開発を急ぐなど、電動化時代への対応を迫られる。
スモールメーカーであるマツダは、持ち前の技術力で100年に一度と言われる自動車業界の変革期をどう生き残るのか。今年4月にCTO(最高技術責任者)に就任した、梅下隆一氏を直撃した。

内燃機関でも地球環境に貢献できる

――10月末から開催しているジャパンモビリティショーでは、「走れば走るほど大気中の二酸化炭素(CO₂)を減らす車」をビジョンモデルとして提示しました。

「ビジョン クロスクーペ」では、カーボンネガティブ(温室効果ガスの排出量より吸収量が上回る状態)を実現させるために、2つの技術コンセプトを示した。

1つは微細藻類に由来するカーボンニュートラル燃料。これを活用することで燃焼時に発生するCO₂の90%を実質的に削減できる。さらに独自開発を進めているCO₂回収装置で排ガスに含まれるCO₂を20%回収すれば合計110%になり、走れば走るほど大気中のCO₂が減っていく仕組みが実現できる。

マツダは「マルチソリューション戦略」の名の下、ハイブリッド(HV)やプラグインハイブリッド(PHV)、EVなどの電動化技術も開発しているが、われわれの最大の特徴は内燃機関にも力を入れていることだ。

EVではどれだけ頑張ってもカーボンニュートラルまで。だが、内燃機関は空気を吸って燃焼して排気するサイクルがあるため、カーボンネガティブが技術的に可能ではないかと考えている。

乗用車はどんどん電動化にシフトしていくという風に言われるが、内燃機関にもEVと同じかそれ以上に地球環境へ貢献する道筋がある。それを今回提示した形だ。

次ページトランプ政権によるEVシフトへの影響は?
関連記事
トピックボードAD