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不正後初の新型車/ダイハツが7代目「ムーヴ」で再出発/軽トップ陥落、BYD軽参入や車両価格高騰を乗り越えられるか

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ダイハツの新型「ムーヴ」。認証不正の影響で市場投入は当初予定からおよそ2年遅れた(記者撮影)

「ダイハツ再スタートの第一歩だ。愚直に取り組み、ダイハツらしい競争力を磨いていきたい」。6月5日に新型「ムーヴ」の販売を開始したダイハツ工業。同日、東京都内で開いた発表会で井上雅宏社長は力説した。

ムーヴは1995年に発売後、累計340万台を販売しているダイハツの主力車種の1つ。燃費と収納性を両立したハイトワゴンとして支持されてきた。2024年度の年間販売台数は6.3万台で、ダイハツ車ではスーパーハイトワゴン「タント」に次ぐ人気を誇る。

7代目となる今回は、10年ぶりのフルモデルチェンジとなる。乗り降りのしやすさから人気を呼んでいるスライドドアを、ムーヴとして初めて標準設定し、スタイリッシュなデザインを意識したという。燃費性能は先代モデルから10%改善し、走行性能や操作安定性も高めた。一方で、部品の共通化などをより進めることなどで、性能を高めつつ最低販売価格は135万円台に抑えた。

ダイハツ社内や販売会社からは「とにかく久しぶりの新型車。期待感は大きい」と歓迎の声が上がる。

認証不正の影響で新車投入は3年ぶり

実は、ダイハツが国内に新車を投入するのは3年ぶりとなる。2023年11月以降、次々と判明した認証業務に関連する不正の影響で、新車開発が滞っていたからだ。

第三者委員会を立ち上げて調査した結果、64車種、25項目で174個の不正行為が見つかった。ダイハツは一時、国内外で生産する全車種の出荷を停止する前代未聞の事態に陥った。

その後、策定した再発防止策に則り、法規認証室の人員を従来の7倍に拡充。短期開発を追求する体制・ルールについても見直し、開発の標準日程も従来の1.4倍の長さに設定した。

もともと2023年投入の予定だった7代目ムーヴが、不正後に国内で発売する初の新型車となった。「日本のマーケットで戦うことが一丁目一番地だと、改めてお客様を見て強く思っている」と井上社長は強調した。

産業の裾野が広い自動車メーカーが新型車を出せないという異常事態はとりあえず終わった。5日の発表会に出席していた経済産業省幹部は「新型車を作って、売らないとメーカーではない。ようやく、という感じだ」と安堵の表情を浮かべた。

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