会員限定

1年で2倍になった米価は高いまま…令和の米騒動「真犯人」はどこかにいるのか?やり玉に挙がった「先物取引・農協・政府の需給見通し」は過大評価

✎ 1〜 ✎ 5 ✎ 6 ✎ 7 ✎ 8
著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小
*2025年10月20日6:00まで無料の会員登録で全文をお読みいただけます。それ以降は有料会員限定となります。

 

生活の根幹だけに、価格急騰で関心が集中した(写真:shige hattori / PIXTA)

特集「どうなる?日本のコメ」の他の記事を読む

令和のコメ騒動がいつ始まったのかという点には諸説あるが、スーパーの棚からコメが消えるという衝撃の事態からは1年以上が経過した。それ以降、コメの価格は約2倍に高騰し、コメに関するニュースを新聞やテレビで見なかった日は、ほぼなかったと言っていい。

筆者も一応専門家として、「いつコメの価格は下がりますか」と聞かれ続け、「そろそろ下がるのでは……」と答え続けて1年が過ぎた。

あふれるニュースの中には、真偽不明の情報も多かった。それらの情報がコメ市場の先行きの不透明さを強め、さらにニュースが過熱するという悪循環もあったように思う。

そこで本稿では、筆者の目にとまった「過大評価」とでもいうべき言説を3つ挙げ、そのようなニュースに対する向き合い方について考えてみたい。

時を同じくして始まった「先物取引」

1つ目は、先物市場の開設が米価高騰の要因となったという説である。

堂島取引所で「堂島コメ平均」という先物商品の取引が始まったのは2024年8月であり、確かに時期としては米価高騰が始まった時期と一致する。

しかしながら、堂島コメ平均は政府が公表している相対取引価格を基準とした指数を取引するものであり、現物の取引は行われていない。よって、先物取引が始まったからコメ不足になったわけではない。

また、先物市場の取引自体は低調という評価が一般的である。

例えば、日本経済新聞(25年8月13日付朝刊)と日本農業新聞(25年8月14日付)はともに、開設1年を経て先物市場の利用は低調と報じている。市場創設時には透明性の高いコメの価格形成に貢献することが期待されていたが、まだそこまでの影響力はないと言わざるを得ない。

それにもかかわらず先物市場が米価高騰の犯人として取り沙汰されたのは、「先物=投機」というイメージが根強く残っているからであろう。

次ページコメ先物=投機との非難は江戸時代から
関連記事
トピックボードAD