もはや"主食"とはいえないのになぜ固執?「令和のコメ騒動」がこれほどまでに長期化している3つの理由

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メディアによるコメ報道が異様なほど盛り上がっている。
1年前からコメ価格が上昇。十分に価格を引き下げられなかった江藤拓氏は農林水産相から引きずり下ろされ、5月21日に小泉進次郎氏が農相に就任した。小泉農相は「(市場を)じゃぶじゃぶにして米価を下げる」と宣言。持ち前の実行力で備蓄米の投げ売りを始めると、さらに報道は過熱した。
コンビニや街のコメ販売店を訪れる小泉氏の後ろをテレビクルーや記者が追い回し、一言一句を報じる。国民の関心事であるコメ高騰に立ち向かう小泉氏は、選挙を控え支持率が低迷していた石破政権の救世主と持ち上げられる。
だが、40年にわたって食と農業を取材してきた筆者にとって、コメにそんな政治力があるとは驚きだ。なぜコメ報道が過熱しているのだろうか。
「コメが主食」は本当か
報道でコメが取り上げられる際には、ほとんどの場合「主食である」という形容詞が伴う。国民の大切な主食が値上がりし、生活を強く圧迫しているという切り口で報じられる。備蓄米が店頭に並んだスーパーの店頭で、消費者はコメを抱え、テレビカメラに向かって「これで安心できる」と笑顔で答える。
コメの店頭価格は、この1年間に2倍に急騰した。北から南までほとんどの日本人の食生活になじみのあるコメの話題を、メディアが競って取り上げることは当然だ。

農業ジャーナリストを標榜する筆者にも、原稿の依頼やコメントを求める記者からの問い合わせがある。話をすると、多くが農業取材の経験はあまりなさそうだ。問題の背景を掘り下げるというよりも、正直に言えば「ほかのメディアがやっているから」のノリがあるように映る。
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