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新米の秋、JAの逆襲…「増産」なのになぜ4000円台が続く?/コメ集めに躍起のJAは概算金を競うようにアップ、先駆けた阿蘇でさらなるサプライズ

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JA阿蘇の出発式で飾られた垂れ幕や米俵、米袋
概算金引き上げの口火を切ったJA阿蘇の新米出発式(9月9日、熊本県阿蘇市、記者撮影)

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新米「宮崎コシヒカリ」5キロ税込み4849円(約970円/キロ)、アメリカ産の「カルローズ」4キロ2138円(約535円/キロ)――。9月下旬、東京都江東区のスーパーではレジ前の目立つ場所に2種類のコメが積まれていた。

新米が出回り始めた秋、コメの値段は店頭価格で5キロ税込み4000円台が大半だ。

「(5キロで)3000円台にならなければならない」。今年5月、石破茂首相は前年比2倍と4000円台まで急騰した米価に対し、こう断言した。小泉進次郎農林水産相は備蓄米を店頭価格5キロ2000円台で放出。一時は平均価格が4000円を切った。

ただ、全体の相場が下がったわけではなかった。「新潟コシヒカリ」「あきたこまち」といった産地と銘柄を示した当年産のコメ価格は4000円台が続いた。

全体の販売量のうち、備蓄米を用いたブレンド米が一時は半数を占めたため平均価格が下がったものの、備蓄米の販売がフェードアウトするにつれ、平均価格は上昇している。

小泉農相は今秋に収穫される主食用米は「56万トン(前年の1割弱)増産される」と繰り返してきたが、なぜ高値が続くのか。このままコメは5キロ4000円超で買うしかなくなるのか。

阿蘇で上がった「概算金3万円」の狼煙

同じ銘柄米の店頭価格4000円超でも、昨秋から出回る前年産のコメと新米では様相が異なる。

昨年来のコメ急騰は流通段階で品薄となったことが要因だった。業者間取引で価格が高騰したうえ、売れ行きを抑えるために価格を上げた。それが今秋は産地主導なのだ。

各地のJA(農業協同組合)は、生産者から委託集荷する際に支払う概算金(仮払金)を大幅に引き上げており、東北や新潟の米どころは軒並み3万円(60キロ玄米)超に設定している。

3万円だとキロあたり500円だが、精米すると1割程度目減りし、運送費等のコストや流通マージンが加わる。これらによるが店頭価格は1キロ800円、5キロで4000円を超えてくる。さらにJA以外の業者は概算金を上回る価格で買い集めようとする。

新米の収穫時から、銘柄米で5キロ4000円超が続くことは決定づけられたといっていい。

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