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コメ問題解決には新農業が必要だ。コメ高騰は生産過多、硬直した需給管理など制度疲労が原因。法人参入など抜本的な農業全体の見直しが必要。

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コメ高騰は生産過多、硬直した需給管理など制度疲労が原因。法人参入など農業全体の見直しが必要だ。

5㎏4000円を超えるコメ価格。安価な備蓄米の放出だけでは、通常価格まで引き下げることは難しい (写真:PIXTA)

価格は需給で決まるものである。供給量に比して需要量が多すぎるとき、価格は高騰する。

コメ価格の高騰が続いている。農林水産省発表のスーパーでの販売価格は5月19〜25日の週で5キログラム当たり4260円(税込み)と史上最高値圏にある。随意契約の備蓄米放出が始まり、同2000円台のものが店頭に並んだと報道ではにぎやかだった。ただ、安価な備蓄米放出だけで、通常のコメの価格引き下げに効果が出るかどうか。あくまでも“価格は需給で決まる”。

コメ問題を整理するには、日本の制度疲労を正面から受け止める必要がある。

第1に、生産面の問題だ。食料自給率を維持するための水田に対するさまざまの補助金は、日本人の年間コメ消費量が激減している実勢(ピーク1962年度の1人118キログラムから50キログラム程度まで半減)と比較するまでもなく、すでに日本の実態に合わない。消費されないコメを大量に作ることで価格が下がらないよう日本政府は農家に対し主食用米から飼料用米などへの転作支援を行ってきた経緯がある。

農家への補助金が転換を遅らせた

飼料用米は10アール当たり2万円程度にしかならないのに、過剰な高額補助金(備蓄米、ミニマムアクセス米の処理費用を含め2000億円。飼料用米以外も合わせれば4000億〜5000億円にも上る)を用意した結果、農家は需給に見合った収益を狙う機会を逃してしまった。

もともと小規模で高齢化が進む農家が転換点を見つけられなかったのは、この補助金があったためだといっても過言ではない。これがなければ、農地バンクの活用を通じて農地が集約化され、効率的な利用が促進されただろうし、果物など高付加価値品への転換もできたはずである。

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