日本の国債市場における“新たな課題”。日銀が国債市場への関与を減らしつつあり、今後は政府・財務省による柔軟な国債管理政策が求められる
日銀が国債市場への関与を減らしつつある。今後は政府・財務省による柔軟な国債管理政策が求められる。

日本の長期金利は3月から5月にかけて急騰した。5月後半の米国株の一時的な急落もその影響で生じた面がある。とくに目立ったのが超長期債(10年超)の金利上昇だ。10年債金利は1月の日本銀行の利上げ前から0.4%ポイント上昇した。一方で30年債金利は2月末時点の2.3%台が5月半ばの3.2%まで0.9%ポイントも急騰した。同じ期間にアメリカの30年債金利が0.6%ポイントの上昇だったことと比べても、日本の超長期債金利の急騰は目立った。
6月に入り超長期債市場はやや落ち着きを取り戻しているが、3月から5月にかけての急激な金利上昇の背景は何だったのか?
最も大きな要因は、生命保険会社の需要減少にあったといわれる。生保は、資産と負債の年限のより厳格なマッチングを求める新たな規制に対応するため、過去数年間、30年や40年といった超長期債の購入を積極的に進めてきた。
超長期債金利に徐々に上昇圧力
その需要が一巡するタイミングと、日銀が金融政策の正常化を開始したタイミングが重なり、超長期債金利には徐々に上昇圧力が生じつつあった。そこに、年度末で銀行が評価損を抱えた超長期債を処理する動きが出て、生保自身も金利上昇で資産側の金利リスクが過大になり、一部超長期債を売却する動きまで見せ、金利上昇を加速させた。
さらに、4月の相互関税ショックを受けてリスク圧縮を迫られたヘッジファンドなどが、裁定ポジションで保有していた超長期債を売却する動きも重なった。そうした中で、5月には超長期債の入札が相次いで不調に終わり、ややパニック的な金利上昇が生じる形となったのだ。
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