日本銀行は国債買い入れを減額するが、長期金利の上昇は政府の発行政策とのバランスによる。
日本銀行は7月末の金融政策決定会合で、国債買い入れ減額の規模と方法を明らかにする。3月にイールドカーブ・コントロール政策を撤廃した際には、月額6兆円の買い入れペースを維持するとだけ発表していたが、それから4カ月で早くもバランスシートの正常化に着手することになる。
仮に月2兆円の減額であれば、国債発行総額に対する比率で17%、月3兆円の減額であれば26%の規模での国債保有削減となる。当然、債券市場あるいは長期金利への影響は小さくない。
ただし、日銀が国債の保有額を削減していけば、その削減ペースに応じて機械的に長期金利が上昇していくのかというと、そう単純なものではない。中央銀行の国債購入の目的は、債券市場でもともと形成されている供給(=国債発行)と需要(=債券投資)のバランスに介入することで需給を逼迫させ、長期金利を低下させることにある。長期金利の水準を決定する要素は中銀の国債購入以外にいくつもあり、中銀のバランスシートが縮小すれば、それらの要素が長期金利の水準形成に及ぼす影響度合いが強まってくることになる。
長期金利の主要な決定要素としては、当然、短期金利と市場におけるその将来予想が最も重要であり、国債発行と投資家需要という需給要因がそれに続く。投資家需要の中には、銀行や生保といった投資主体ごとの制度、規制による影響なども含まれる。日本においては、そういった国内要因と同等かそれ以上にアメリカの長期金利の影響も大きい。これら複数の要因が日銀の国債買い入れ削減の影響を助長するのか相殺するのかによって、長期金利水準は大きく変わる。
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