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円安はついに最終局面だが望む形になるかは不明 過度な円安解消で個人消費の低迷を改善するか

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FRBの利下げ観測が強まりドル高円安の修正が期待されるが、緩やかな修正になるかが焦点だ。

7月で退任する神田財務官は最後に円安阻止の意志を示したか (撮影:今井康一)

米労働省が7月11日に発表した6月CPI(消費者物価指数)は、事前予想を下回り、物価上昇圧力が着実に低下していることを裏付けた。サプライズだったのは、この発表直後に、為替市場でドル安円高が急速に進んだことだ。1ドル=161円後半から一時は157円台と、短時間のうちに4円以上もドル安円高が進むという異常な事態となった。

円高局面で「円押し上げ介入」か

アメリカ6月CPIが事前予想比で下振れし、FRBの利下げ観測が強まったことが、ドル安を生じさせたことは疑いない。しかしドルの対円での下落幅は、他通貨と比べてかなり大きかった。短時間で4円以上もドル安円高が進んだことと併せ、このことは日本政府によるドル売り円買いの為替介入の実施を強く疑わせるものだ。

財務省の神田真人財務官は日本時間の11日夜に、円買い介入を実施したかを聞かれて「介入の有無についてはコメントする立場にない」と語った。しかしほかの政府関係者が為替介入の実施を認めたとの報道もあり、4月末、5月初めに続き、ドル売り円買い介入が実施された可能性が高いだろう。

今までの為替介入と大きく異なるのは、円安が進んだ局面で当局が円買いを実施するのではなく、円高が進んだ局面で「円押し上げ介入」を実施したとみられた点だ。

円安圧力が強い中で当局がドル売り円買いを実施して市場の流れに立ち向かっても、その影響はすぐに市場に吸収されてしまうことがある。他方、何らかの材料をきっかけに一時的に円高に振れた局面を捉えて円の押し上げ介入を実施すると、非常に有効な介入となることがある。今回はそのケースといえるのではないか。

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