日本とアメリカが15%の相互関税で合意。日本の実質GDPへの押し下げ効果は▲0.55%で経済後退局面入りも。

アメリカ時間7月22日にトランプ大統領は、日本とアメリカが15%の相互関税で合意したとSNSに投稿した。自動車・自動車部品の関税についても、同じく15%の水準まで引き下げる。関税協議をめぐる日米間の溝はまだかなり深いと考えられていたため、このタイミングでの合意は予想外だった。
日本政府は当初から自動車も含めたトランプ関税全体の撤廃、あるいは大幅引き下げを要求してきた。この点から今回15%の関税率を受け入れたことは、かなり態度を軟化させた譲歩といえる。一方でトランプ政権側も、2国間協議の場では分野別関税である自動車関税は協議しないとしてきたが、今回、自動車関税率引き下げに応じたことは、日本側に一定程度譲歩したことを意味する。
5500億ドル(約80兆円)の対米投資拡大が評価
トランプ政権は、日本側が示した提案のうち、5500億ドル(約80兆円)の対米投資拡大を約束したことを最も評価した可能性が考えられる。この投資には、政府系金融機関の融資、出資の支援も設定されている。しかし、アメリカへの投資は、最終的には日本企業が決めるもので、5500億ドルは政府の目標水準にすぎない。
トランプ政権が一方的に関税を押し付ける中、アメリカでのビジネス環境はかなり悪化したと考える日本企業は少なくないはずだ。また、現在の為替レートでは、アメリカで生産活動を行う際の人件費は非常に高く、日本企業が対米投資を拡大させるインセンティブは小さい。むしろ今後は、アメリカに集中していた投資を他国に分散させる動きを強めていくのではないか。
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