進む円安に政府と日本銀行は連携姿勢で食い止めにいけるかが試されている。
日本が大型連休中だった4月29日の朝方に、為替が一時1ドル=160円に達した。ところが同日の午後になって為替は一転して円高に振れ、155円近くまで円が買い戻された。1時間のうちに4円程度も円高に振れることは、通常の取引では起こりにくい。政府は明らかにしなかったが、政府による為替介入があったことが強く疑われる状況だった。
タイミングを図る為替介入
さらに、日本時間の5月2日早朝には、1ドル=157円台から一時153円台まで再び円が急騰した。1時間足らずでドル円レートが4円程度も動くのは、4月29日と同様に、政府の為替介入が実施されたことが強く疑われる状況だった。再び「覆面介入」が行われた可能性が考えられる。
政府が為替介入を実施しても、その事実を明らかにしないこの「覆面介入」は、2022年にも採用された手法だ。市場を疑心暗鬼に陥れて、円安の流れを強く牽制する効果が期待される。
米国時間の5月1日には、FOMCが行われた。予想どおり政策変更は見送られたが、その後の記者会見でFRBのパウエル議長は、「次の動きが利上げとなる可能性は低い」、と述べたことなどが注目を集め、円がやや買い戻された。
日本政府は、FOMCを受けて再び円安の流れが強まれば、アメリカ市場でドル売り円買いの為替介入に踏み切る準備をしていたと推察される。しかし実際には逆に円高に振れ、それを見て戦略を転換した可能性が考えられよう。つまり、市場の流れが円高に振れたタイミングを捉えて、「円の押し上げ介入」の実施を決めた可能性がある。
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