円安阻止の「通貨防衛戦」はこれで終わりではない 次なる防衛戦までに通貨政策をどう立て直すか

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ようやく迎える「円安の終わり」。為替介入と利上げで抗した初の「通貨防衛戦」を総括する。

国会審査で政策修正の遅れを批判された植田日銀総裁(写真:Bloomberg)

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※本記事は2024年9月19日6:00まで無料で全文をご覧いただけます。それ以降は有料会員限定となります。

アメリカ連邦準備制度理事会(FRB)が利下げ局面に入りつつある。FRBのパウエル議長は8月下旬、ワイオミング州ジャクソンホールでの金融シンポジウムで講演し、「(金融緩和へ政策を転換する)時機が到来した」と宣言した。

これに伴って日米金利差は縮小過程に入り、円安阻止の通貨防衛戦はいったん終結する公算が大きい。

ただ、将来的には数次の防衛戦が予想され、あくまでも「第1次」が終わったにすぎない。

アメリカの根強いインフレで円安が何度も再燃

まず、円安進展の経緯と政府・日銀の防衛戦の軌跡を振り返りたい。

円安が顕著に進んだのは2022年前半だった。

当時、脱コロナに伴う需要回復とロシアのウクライナ侵攻などで国際資源価格が高騰。欧米経済は急速にインフレが進行した。FRBは当初、供給要因の物価上昇は一過性とみなして静観。ところが、インフレは一向に沈静化せず、慌てて急速な利上げ過程に入った。一方、日銀は大規模緩和を継続。日米金利差は急拡大し、ドル高・円安が加速した。

当時、日銀を率いた黒田東彦総裁は円安を静観した。物価は目標の2%を超えたものの、供給要因の物価高は経済に悪影響が大きいと判断。大規模緩和を堅持した。

この間、FRBの利上げは続き、2022年秋に円は1ドル=152円近くまで急落。政府(財務省)はドル売り・円買い介入を余儀なくされた。その後、アメリカのインフレ沈静化でFRBの利下げ転換が期待され、いったん円安もおさまる。翌2023年初めには130円前後に戻した。

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