
特集「今こそ知っておきたい「ネイチャーポジティブ」」の他の記事を読む
生物多様性の回復を目指す「ネイチャーポジティブ」がビジネスの世界で注目されている。ネイチャーポジティブの達成には、「生態系の広がり」「生態系の状態」「種の絶滅リスク」の3つを改善する必要がある。
2020年を基準年として、それらの減少・劣化が2030年までに反転し、2050年には完全に回復することを目指し、取り組みが進められている。この連載では、ネイチャーポジティブの動向についてご紹介していく。
第3回は拡大する水産資源の枯渇にどう対処すべきかについて解説する。
【配信予定】
①今こそ知っておきたい「ネイチャーポジティブ」
②2050年のネットゼロ達成に不可欠な森林破壊ゼロ
8月5日(火) ④水リスクと淡水の生物多様性の取り組み
8月6日(水) ⑤ネイチャーポジティブ時代の金融機関の役割
3割を超える水産資源が過剰漁獲に
かつて大衆魚と言われた秋サケ、サンマ、スルメイカなどの不漁が続いている。要因は、気候変動による海洋環境の変化、過剰漁獲、そしてIUU(違法・無報告・無規制)漁業などが複合的に関係しているといわれる。『このままでは魚が食べられなくなる⁉』といった報道も、大げさとは言い切れない状況だ。
こうした現状を改善し、海の生物多様性を守りつつ、その恵みである水産資源の持続可能な利用を確立することは、国際的な目標としても位置づけられているネイチャーポジティブを実現する重要な一歩である。
水産物は重要なたんぱく源として世界的に消費量は増加傾向だが、水産業は天然資源を直接収穫、消費しているという点で、自然環境への依存度が高い食料生産システムだ。国連食糧農業機関(FAO)によると、3割を超える水産資源は過剰漁獲の状態で、その比率は年々増加しているといわれている。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら