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正しい施策を打てば、漁業者の所得も増やせる 漁業法改正に尽力した小林史明議員に聞く

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地方で特色を出し、がんばっている漁業者は多い。施策を打ち、日本の漁業全体を活気づけるべきだ。

自由民主党 衆議院議員 小林史明氏
小林史明(こばやし・ふみあき)/自由民主党 衆議院議員。1983年広島県生まれ。2007年上智大学理工学部卒。NTTドコモを経て12年広島7区(新6区)で初当選(4期)。デジタル副大臣や自民党副幹事長等を歴任(撮影:尾形文繁)

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日本の漁業が危ない。生産量はピークから7割減。輸入金額も増え、海外勢に買い負けている。一方、魚を獲りすぎず、資源を安定させなければ漁業の未来はない。
『週刊東洋経済』6月1日号の第1特集は「全解剖 日本の魚ビジネス」。漁業者は持続的な漁業をできるのか。消費者は魚をいつまで食べられるのか。自由民主党で漁業法改正に深く携わった小林史明衆議院議員に聞いた。

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週刊東洋経済 2024年6/1号(全解剖 日本の魚ビジネス)[雑誌]
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──日本の漁獲量は年々減っていますが、原因は何でしょうか。

国連食糧農業機関(FAO)によると、この30年間で世界の漁業生産量は倍増したことに対し、日本は2分の1に衰退している。

日本では伝統的に操業隻数や操業期間などを設ける形で資源を守る、「インプットコントロール」(投入量規制)を行ってきた。一方、漁業先進国に成長したノルウェーやアメリカでは、TAC(漁獲可能量)の設定などによって漁獲量を制限する「アウトプットコントロール」(産出量規制)を推進し、成功を収めているのと対照的だ。

漁船のサイズが大きくなって魚群探知機などテクノロジーが進展し、効率的に魚が獲れるようになったことに伴い、日本は資源管理に対する取り組みといった規制のあり方を変えなければいけなかったのに、対応が遅れてしまった。

手を打てば漁業者の所得も倍増できる

回遊している魚種は他国の影響もあるが、沿岸でも獲れなくなっていて、資源量が減っている。自国のことが後手に回っているのに他国に強い規制を求めることはできず、国際的な資源管理のルールを決定する交渉の場でも立場は弱い。

環境の変化も影響している。瀬戸内海や九州の沿岸では海藻が著しく減少・消失する、「磯焼け」が問題だ。海水温の上昇や海洋汚染、自然災害などにより引き起こされるが、ウニによる食害が大きい。その結果、他の魚が育たなくなっている。

次ページTACの対象はいずれ20魚種以上に増える
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