有料会員限定

昔は1尾100円!「庶民のサンマ」はこう激減した 温暖化やマイワシ、中・台の乱獲が原因なのか

✎ 1〜 ✎ 8 ✎ 9 ✎ 10 ✎ 最新
拡大
縮小

地球温暖化? マイワシ? 中・台の乱獲? サンマが減った真の理由を明らかにする。

竹ざるに盛られたサンマ
サンマはかつてスーパーの特売で1尾100円で売られることもあった(写真:PIXTA)

特集「全解剖 日本の魚ビジネス」の他の記事を読む

日本の漁業が危ない。生産量はピークから7割減。輸入金額も増え、海外勢に買い負けている。一方、魚を獲りすぎず、資源を安定させなければ漁業の未来はない。
『週刊東洋経済』6月1日号の特集は「全解剖 日本の魚ビジネス」。われわれは魚をいつまで食べられるのか。
週刊東洋経済 2024年6/1号(全解剖 日本の魚ビジネス)[雑誌]
週刊東洋経済2024年6月1日号の特集は「全解剖 日本の魚ビジネス」。書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします。バックナンバーの常備書店はこちら。定期購読の申し込みはこちら

秋の風物詩サンマ。大衆魚として、1尾100円前後で国産の丸々太ったサンマが店に並ぶ光景は、過去のものとなりつつある。価格が上がっただけでなく、形の細いサンマが出回るようになった。

漁場が遠くなったため、鮮度的にもいま一つになり、刺し身で食べる機会も減少。いったい何が起こっているのだろうか。

今年4月15日から18日にかけて、北太平洋漁業委員会(NPFC)が大阪で開催。資源管理に不可欠なサンマの2024年度のTAC(漁獲可能量)について、日本・中国・台湾などの9カ国で会議が実施された。

そこで決まったのは、公海上におけるTACが前年度比10%減の13.5万トンで、これに日本の排他的経済水域(EEZ)内でのTACを加えると、全体では同10%減の22.5万トンまでが漁獲可能という内容である。

23年度も同25%減の25万トンで、削減は毎年のように決まっている。TACの削減だけ見ると、水産資源を獲りすぎないよう、資源管理が進んでいると思えるかもしれない。

が、同年度のサンマの実際の漁獲量は全体で12万トンしかなく、資源減少が止まらない中、実質獲り放題のままなのだ。

24年度の国際会議で決まったサンマの漁獲量

削減という方向性は間違っていないが、抑制効果のない漁業管理で資源が回復するはずはない。資源が減らないようTACを減らす。

関連記事
トピックボードAD
トレンドライブラリーAD
人気の動画
【動物研究家】パンク町田に密着し、知られざる一面に迫る
【動物研究家】パンク町田に密着し、知られざる一面に迫る
広告収入減に株主の圧力増大、テレビ局が直面する生存競争
広告収入減に株主の圧力増大、テレビ局が直面する生存競争
現実味が増す「トランプ再選」、政策や外交に起こりうる変化
現実味が増す「トランプ再選」、政策や外交に起こりうる変化
【田内学×白川尚史】借金は悪いもの?金融の本質を突く教育とは
【田内学×白川尚史】借金は悪いもの?金融の本質を突く教育とは
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
特集インデックス
全解剖 日本の魚ビジネス
いつまで魚を食える?日本の「魚ビジネス」大解剖
生産量はピークから7割減、海外勢に買い負け
世界で成長産業でもなぜ日本だけ低迷するのか
女性や若手、「YouTuberと二刀流」の漁師も台頭
F&Lの水留浩一社長兼CEOに単独インタビュー
マグロは2位! 回転ずしの原価率ランキング
サンマやイカは激減、ブリは増加。マグロは?
日本にいるウナギ稚魚のうち、天然物は0.1%
温暖化やマイワシ、中・台の乱獲が原因なのか
人手がかかり人件費だけで元が取れなくなった
ナマコもシラスウナギも注意!専門家に聞いた
漁業法改正に尽力した小林史明議員に聞く
奄美で獲れて2日後には、東京でも食べられる
イトーヨーカドーや阪急でも売られているが…
1億円で落札されることもある"海のダイヤ"
もう「寒ブリ」でなく、1年中の出荷が可能に
新進気鋭のベンチャー、FRDが立ち向かう難路
中国禁輸でもアメリカやアジアに売りまくる
メヒカリの空揚げは大手居酒屋の定番商品だ
都道府県別で漁獲量トップはホタテの北海道
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT
東洋経済オンライン有料会員のご案内