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JR東日本“擬似労働組合”のような「社友会」の振る舞いに社員からも不満が噴出

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会社に対し、ベースアップや夏季手当のアップを要望したことを伝える「社友会通信」
東北新幹線での「連結器外れ」や、最新型車両「E8系」の故障など、深刻な車両トラブルが相次ぐJR東日本。まさに同社の安全・安定輸送への信頼を揺るがす非常事態であるにもかかわらず、経営陣からは危機感や緊張感が伝わってこない。
その一因として指摘されるのが、安全問題をはじめ、同社の経営全般を現場からチェックする「労働組合」の不在だ。JR東日本では7年前、過半数労働組合が消滅するのと同時に、社員の親睦団体「社友会」が誕生。以来、JR東日本は、この社友会を労組に代わる「経営のパートナー」として育成してきたのだ。
デジタル連載「過信―JR東日本がもくろむ『労組消滅』」の第3回は、「団体交渉権」を持たない任意組織であるにもかかわらず、会社に対しベースアップや夏季手当アップの要求を行うなど、まるで“擬似労組”のような社友会の振る舞いに対し、現場の社員たちからも疑問の声があがっている実態を報告する。
【配信スケジュール】
第1回 JR東日本「社友会」育成の真の狙いは労組潰し
第2回 社友会を「経営のパートナー」とするJR東日本
第3回 JR東日本の“擬似労働組合”のような社友会(本記事)
第4回 9月中旬
coming soon

まずは上記の写真をご覧いただきたい。

2024年の春闘を控えた1月末、JR東日本東北本部(宮城県仙台市)の、ある職場の掲示板に張り出された「社友会通信」だ。

〈新賃金・夏季手当等について、経営幹部と意見交換しました〉と題し、こう続く。

〈JR東日本社友会連携協議会として、各機関・各箇所での「融合と連携」の取組み等踏まえた新賃金・夏季手当に関する意見等を経営幹部へ伝えました〉

これまでにも述べてきた通り、JR東日本では2018年、それまで社員の約8割が加入する過半数労働組合だった「JR東労組」(東日本旅客鉄道労働組合)が崩壊。それと同時に、本社や支社などの各職場単位で、「社友会」という親睦団体が次々に誕生した。「社友会連携協議会」は、これら個々の社友会を全社的に取りまとめる組織として2023年に発足し、各部署の社友会の代表で構成されている。

また通信のなかにある「融合と連携」とは、前回でも触れた、JR東日本のグループ経営ビジョン『変革2027』(2018年公表)で示された経営方針で、「輸送」「生活サービス」「IT・Suica」など同社が展開する、それぞれの事業内で、また各事業同士の「融合と連携」を進める――という意味である。

そして社友会連携協議会は、この〈「融合と連携」の取組み〉を会社側にアピールした上で、【新賃金】について〈定期昇給と併せ、物価上昇等を十分に考慮した上でのベースアップをお願いしたい〉と会社側に要望。さらに【夏季手当】についても〈社員の頑張りを十分に考慮した、モチベーション向上につながる内容を期待している〉と伝えたというのだ。

まるで“疑似労働組合”

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