会社にとって都合のいい組織・社友会を「経営のパートナー」とするJR東日本

総事業費6000億円、総開発面積9.5ha――。JR東日本が文字通り、社運をかけて臨む巨大再開発「TAKANAWA GATEWAY CITY」(高輪ゲートウェイシティ・東京都港区)。来春にグランドオープンするという、自社が創造した「新たな街」で7月1日、JR東日本はグループ経営ビジョン(中期経営計画)『勇翔2034』の株主・投資家向けの説明会を行った。同社による経営ビジョンの発表は、2018年の『変革2027』以来、7年ぶりのことだった。
『勇翔2034』では、TAKANAWA GATEWAY CITYに代表される不動産を中心とした「非鉄道事業」をさらに拡大し、2031年度には営業収益を、2024年度(2兆8875億円)比40%増の4兆円超、営業利益を同年度(3767億円)比85%増の7000億円程度にまで引き上げ、目標の2034年度には営業収益5兆円を目指すという。
JR東日本は前回の『変革2027』で、2017年度には7対3だった営業収益における鉄道事業と非鉄道事業の割合を、2027年度までに6対4にする目標を立てていたが、2024年度の割合は67%対33%に留まった。新たに発表された『勇翔2034』からは、今後2年で一気に目標値まで持っていこうとする同社の意気込みが伝わってくる。

東北・山形新幹線でトラブル相次ぐ
だが、それらすべての事業の礎となる、そして同社の“祖業”である鉄道輸送への信頼が今、揺らいでいる。連載の第1回でもお伝えしたように、お家芸ともいえる「連結運転」をはじめとして、JR東日本がその技術力を国内外に誇る東北新幹線で昨年来、運行トラブルが相次いでいるのだ。
2024年9月、盛岡・秋田発東京行き「はやぶさ・こまち6号」が時速315kmで走行中に連結器が外れ、緊急停止。翌2025年3月には再び東京発新青森・秋田行き「はやぶさ・こまち21号」の連結器が、上野駅を発車直後に外れるというトラブルが発生した。
さらに同年6月17日、今度は栃木県内を回送運転中の最新型車両「E8系」で、車内に電力を供給する「補助電源装置」に故障が発生。自走運転ができなくなり立ち往生したほか、他の3編成でも同様の故障が見つかった。
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