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<米バブル>はいずれ崩壊する…JAも身を削って「5キロ3500円」まで下げなければ「大暴落」、最も怖い「消費減」が進行中…米卸最大手トップの訴え

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藤尾 益雄(ふじお・みつお)/神明ホールディングス社長。1965年生まれ。89年芦屋大学卒業、神明(現神明ホールディングス)入社。2007年に神明社長就任。農林水産省食料・農業・農村政策審議会 食糧部会の委員を25年10月まで8年間務めた(撮影:ヒラオカスタジオ)

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もはや5キロ4000~5000円出さなければコメは買えないのか――。物価高の中、上昇度合いが突出しているのがコメだ。2024年秋以降、前年比上昇率はピーク時で2倍近くまで上がり、政府が備蓄米を放出する事態に発展した。上昇の理由として、コメの需要増に対し生産量が足りなかったことが大きいとの見方に落ち着きつつある。
ところが25年秋に出回る新米は増産されたはずなのに、コメの価格はさらに上がっている。政府は経済対策で「おこめ券」の活用を掲げた。このままコメの高値は続くのか。米卸最大手、神明ホールディングスの藤尾益雄社長に見通しを聞いた。

――いまの米価格は“バブル”なのでしょうか。

まさにバブルとしか言いようがない。われわれ米卸ではなく、農家にとっての「米バブル」だ。

2025年産のコメでは、JA(農業協同組合)グループが集荷時に農家に渡す概算金(前払い金)が玄米1俵(60キロ)で3万円超とまったく想定していなかった水準まで上がった。その影響で、JAがわれわれ米卸に供給する際の手数料込みの相対取引価格も、値上がりした24年産でも年間平均で2万5000円程度だったのが、25年10月に3万7000円(玄米60キロ、全国平均)まで1.5倍程度上がった。

それを米卸が精米し、スーパーに並ぶと店頭価格が5キロ4500円前後、銘柄によって5000円を超える。これでは高すぎて売れない。パンや麺に流れ、コメの消費は8カ月連続で前年割れだ。

外食産業からは、1キロ700円超のコメは採算が全然合わないから、外国産米でいいと言われてしまう。

ただ、輸入米も政府を通じたSBS方式(買い手と売り手の連名による売買同時契約)米の入札に業者が殺到し、売り渡し価格が1キロ550円程度まで上がった。1キロ341円の関税を払う民間輸入と価格がそれほど変わらないという妙な状況になっている。

コンビニおにぎり200円超、プレミアムなら300円超へ

――もはや安いコメが存在しない状況なのですね。いまや米消費の半分近くを中食・外食など業務用米が占めますが、今後コンビニのおにぎりなども値上がりするのでしょうか。

業務用米は2〜3月ごろに24年産から25年産に切り替わる。パックご飯をはじめ米関係の食品は2月に値上げラッシュとなり、コメの消費はさらに落ちるだろう。コンビニ向けはいま価格交渉のせめぎあいの最中だ。おにぎりはかつて100円だったが、いまは180円程度となり、プレミアムのものは300円近い。25年産の米価格が反映されれば、普通のおにぎりで200円超、プレミアムで300円超となって不思議ではない。

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