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台湾捜査当局が東京エレクトロン台湾子会社を起訴、TSMC機密漏洩事件をめぐって今後注目すべき3つのポイント

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TSMCのロゴマーク
TSMCは機密情報の漏洩にますます敏感となっている(写真:Lam Yik Fei/The New York Times)

 

2025年8月上旬に判明したTSMCの営業秘密の漏洩事件で新たな展開である。12月2日に一連の事件を捜査してきた台湾検察当局は東京エレクトロンの台湾子会社を起訴したと発表した。

今回の漏洩事件では、8月上旬に台湾の捜査当局がTSMCの機密情報を盗んだ疑いで6名を逮捕していた。中には日本の半導体製造装置大手・東京エレクトロンの現地子会社元社員が含まれていたため、日本でも半導体業界を中心に衝撃的な事件として受け止められていた。

事件発覚当時は台湾の現地報道などにより東京エレクトロンの組織的な関与や奪取した情報のラピダスへの提供があったと疑う情報まで広がっていた。これらの当時の詳細な経緯や筆者の見立てについては2025年8月10日に配信した「TSMCの技術流出で浮上した“東京エレクトロンやラピダスへの疑い”は妥当ではない」にまとめている。

国家安全法と営業秘密法に違反した容疑

事件発覚後のその後の経緯をまず簡単に振り返りたい。8月27日に東京エレクトロンの台湾子会社に勤務していた1名(後に懲戒解雇)、TSMCに勤務していた2名、合わせて3名が起訴されていた。容疑は国家安全法第8条第2項違反(国家中核・重要技術の営業秘密を国外で使用した)、営業秘密法第13条の2違反(国外での使用目的で営業秘密を窃取した)および営業秘密法第13条の1違反(営業秘密を窃取した)などである。また、釈放された他3名も営業秘密法第13条第1項に基づく刑事責任のみで起訴された。

その後も東京エレクトロン台湾子会社への捜査は行われ続けた。そして12月2日に台湾高検庁知的財産検察科は同社が営業秘密法第13条第4項(第三者が不正取得を知りながら利用した場合)や国家安全法第8条第7項(国家核心重要技術の営業秘密侵害に対する加重処罰規定)を含む計4件の犯罪に関与したとして、起訴したと発表した。

台湾検察は東京エレクトロン台湾子会社に対して1億2000万台湾ドル(約6億円)の罰金を求めている。また同社が元社員に対し法律上の監督責任を負っているにもかかわらず、具体的な管理措置を行っていた証拠がなかったこともあわせて発表された。

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