TSMCのアメリカ増資は「最良の選択」になる理由 出資も課税もなし、技術流出はリスクだが最大の勝者に

2025年3月3日、ホワイトハウスでの投資発表に臨むトランプ大統領(左)と台湾積体電路製造(TSMC)の魏哲家会長(写真・ 2025 Bloomberg Finance LP)
トランプ新政権のもと、アメリカにおける製造拡大は避けられない情勢となった。しかし、TSMC(台湾積体電路製造)のアメリカ投資拡大を重大なリスクと見る向きもある。政治の変化と外部からの疑念に直面するなか、TSMCは前例のない挑戦を乗り越え、より慎重なグローバル戦略を志向し、競争力を示す必要がある。
1000億ドル規模、半導体工場3つを建設
ついに、その時が来た。
TSMCは、これまでに約束した3つの半導体工場と650億ドルの投資に加え、現地時間3月3日、魏哲家会長がホワイトハウスでトランプ大統領と会談。新たに1000億ドルを投じ、アリゾナ州に3つの半導体工場と2つの先進的なパッケージング工場を建設すると発表した。さらに、研究開発センターもアリゾナ州に設置する予定である。
これは、ひと月以上にわたる混乱を経た後、TSMCにとって最良の選択と言える。
ライバルのインテルへの出資もなく、100%の課税もない。TSMCはただアメリカでの投資を増やしただけである。技術の流出さえ防げば、アメリカの製造業回帰による最大のビジネスチャンスを獲得できるのだ。これはTSMCにとって最善の結果と言える。
一方で、多くの人々がこれをTSMCにとって重大なリスクと見なしている。ここで、市場の主な5つの懸念事項を整理、分析する。
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