台湾TSMCの「国宝級」2ナノ技術流出で3人をスピード起訴――東京エレクトロンを襲う"3つのショック"、主犯の元社員に懲役14年を求刑

半導体受託製造の世界最大手・TSMCから最先端技術に関する営業秘密が不正に取得された事件で、捜査当局である台湾高等検察署は8月27日、すでに摘発済みだった3人を起訴した。
うち1人は東京エレクトロン元社員(事件を受け懲戒解雇)、残る2人はTSMC元社員(同)で、いずれも国家安全法および営業秘密法に違反したとして懲役7~14年が求刑されている。
超スピード起訴のワケ
今回は、多くの人の予想を上回る「超スピード起訴」だった。台湾では営業秘密の不正取得事件においては従来、摘発から起訴までにおおむね半年を要している。また起訴率も3割にとどまっていた。それがこの事件は、7月下旬の摘発から約1カ月で起訴に至っているのだ。
確かに事件摘発後、最高検察署の邢泰釗・検察総長は現地メディアに対し「証拠が固まりさえすれば、速やかに審判を求める」と迅速処理の方針を語ってはいた。ここまでの超スピード起訴に至った理由は、本件が単なる営業秘密の窃取ではなく、台湾の国家安全保障を揺るがす歴史的大事件であるからだ。
台湾は2022年に国家安全法を改正し、企業の営業秘密のうち国家安全保障に関わるものの海外流出を阻止する措置を新設している。具体的には第3条で「国家の核心的重要技術(国家核心関鍵技術)」についての規定を新設し、さらに別途、行政院(日本の内閣に相当)が対象となる技術をリストで指定している。
このリストの中で半導体製造技術については、「14ナノメートル以下のプロセスノードの技術」と明示されている。
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