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少子化の「救世主」TSMC、高給でも人材不足の背景 台湾のエンジニア不足、ゆとり教育への懸念も

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半導体受託製造で世界シェア6割を占める台湾のTSMCは高い給与水準を誇ることで知られます。そんな半導体の王者企業でも悩むのが台湾で進む深刻な人材不足です。

TSMCのロゴ
高い給与水準を誇るTSMCだが、台湾という土地では可能性に限界もありそうだ(写真:Lam Yik Fei/The New York Times)

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※本記事は2024年9月21日7:30まで無料で全文をご覧いただけます。それ以降は有料会員限定となります。

台湾の半導体産業で、エンジニアの人手不足が深刻化している。台湾では近年、電力・水・土地・労働力・高度人材の「五つの不足(五欠)」が表面化し、TSMCの海外進出の背景にもなっている。なかでも深刻なのがエンジニアの不足だ。

この状況は、今後さらに厳しさを増す可能性が高い。AIブームを背景に台湾の半導体産業には追い風が吹いており、STEM(科学・技術・工学・数学)人材へのニーズは増加の一途をたどることが予想されるが、その供給は量、質ともに先細り状態にあるからだ。

高給取りTSMCでは出生率高い

産業が新たな成長段階に入ったこともあって、ハイテク業界での人材獲得競争は激しさを増している。台湾の半導体企業の給与水準はこの数年で大きく上昇。TSMCの非管理職正職員の平均年収は、2018年の201万台湾元(ニュー台湾ドル)から2023年には284万元(約1300万円)に上昇した。

若い高給取りを大量に雇用するTSMCは、深刻な少子化に悩む台湾の「救世主」にもなっている。2024年に台湾で生まれた新生児のうち、実に1.8%が両親のいずれかがTSMCで働く「TSMCベイビー」だった。

実際、同社の従業員の出生率は、台湾の平均に比べて顕著に高い。「TSMC赤ちゃんすくすく計画2.0」と名付けられた福利厚生プログラムも行われているが、やはり、社員たちが高い経済力と明るい将来展望をもっていることが影響しているのだろう。

ちなみにTSMCの社員向け幼稚園では、STEAM(STEMにアートを追加)を柱とするポピュラーサイエンス教育、体験型の食育、父母に対する親としての自覚・知識の向上を促す双方向型の働きかけなどを柱とした英才教育を行っている。

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