稼働が遅れる米国工場。グローバルな生産展開は順調とはいえない。
台湾は半導体受託生産の7割、先端品で9割の世界シェアを占める。先端品を独占するのがTSMC(台湾積体電路製造)だ。
コロナ禍に伴う半導体不足を経て、世界がTSMCの存在を認知し、日米欧は同社工場の誘致を進めた。熊本県菊陽町ではTSMCやソニーグループなどが出資したJASMの工場が稼働しようとしている。米アリゾナ州や独ドレスデンでも工場建設が進む。
グローバル展開は新たな試練
過去6年間にTSMCは年20%の成長を続け、売上高が倍以上の約10兆円に達した。創業者の張忠謀氏は引退後に「世界が再び混乱すればTSMCは誰もが欲する存在となる」と豪語。各国が巨額の補助金を出してでも欲しい企業となった。同時に生産のグローバル展開は新たな試練でもある。
その象徴が建設中のアリゾナ工場である。稼働が遅れに遅れているからだ。TSMCがアリゾナの工場建設に着手したのは21年4月。同年10月に計画を発表した熊本工場よりもかなり早い。
熊本工場に比べ先端の半導体製造を予定していることもあって立ち上げ期間は相対的に長い。それでも23年7月には第1工場の稼働予定が当初の24年から25年にずれ込むと発表。続けて24年1月には、第2工場も26年の予定が27年以降に遅れると明らかにした。
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