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台湾半導体「TSMC」が熊本進出で直面する試練 2020年以降、海外展開を本格化させているが…

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稼働が遅れる米国工場。グローバルな生産展開は順調とはいえない。

JASMの工場の外観
熊本県菊陽町にあるJASMの工場。年内には第1工場稼働を見込む(写真:編集部撮影)

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半導体業界がざわついている。震源地は時価総額で一時、世界一となったアメリカのエヌビディアだ。AI半導体ブームに乗って急成長し、マイクロソフトなどGAFAMも一目置く。「半導体 覇権」特集では、エヌビディアの強みと死角、そして巻き返しを図る日本勢の今をリポートする。

台湾は半導体受託生産の7割、先端品で9割の世界シェアを占める。先端品を独占するのがTSMC(台湾積体電路製造)だ。

コロナ禍に伴う半導体不足を経て、世界がTSMCの存在を認知し、日米欧は同社工場の誘致を進めた。熊本県菊陽町ではTSMCやソニーグループなどが出資したJASMの工場が稼働しようとしている。米アリゾナ州や独ドレスデンでも工場建設が進む。

グローバル展開は新たな試練

過去6年間にTSMCは年20%の成長を続け、売上高が倍以上の約10兆円に達した。創業者の張忠謀氏は引退後に「世界が再び混乱すればTSMCは誰もが欲する存在となる」と豪語。各国が巨額の補助金を出してでも欲しい企業となった。同時に生産のグローバル展開は新たな試練でもある。

その象徴が建設中のアリゾナ工場である。稼働が遅れに遅れているからだ。TSMCがアリゾナの工場建設に着手したのは21年4月。同年10月に計画を発表した熊本工場よりもかなり早い。

熊本工場に比べ先端の半導体製造を予定していることもあって立ち上げ期間は相対的に長い。それでも23年7月には第1工場の稼働予定が当初の24年から25年にずれ込むと発表。続けて24年1月には、第2工場も26年の予定が27年以降に遅れると明らかにした。

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