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グリコ案件で矢面に立ったデロイトは「炎上案件」が多いといえるのか? 事業成長責任者が語るプロジェクト支援の実態と今後の成長戦略

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デロイトは、今年2月に「AI Factory as a Service(AI FaaS)」という、AIの基盤環境と人材開発を包括的に支援するサービスの提供を開始。「AI FaaS」を体験できる場所として、「AI Experience Center」を丸の内オフィスの中に開設した(写真:デロイト トーマツ コンサルティングのサイトより)

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基幹システムの刷新やAI活用支援は、コンサル業界の”ドル箱”になっている一方、難航するケースも少なくない。BIG4最大手のデロイトが支援したプロジェクトでは、昨年4月に大規模な障害が発生したと報じられた。実態はどうなのか。デロイトで事業成長の責任者を務める首藤佑樹チーフ・グロース・オフィサーに実態を聞いた。

――いわゆる「2025年の崖」を迎え、クラウド型のERP(統合基幹業務システム)を導入し、基幹システムを刷新するニーズが高まっています。

クラウド型のERPは、老朽化したシステムを刷新するという目的で2010年代に導入が始まった。しかし、AI(人工知能)が普及する時代になり、ERPが持つ重要性とその導入方法が変わってきている。

AIの効果を発揮させるには、表やデータベースといった「構造化」されたデータと、テキスト・画像・音声・動画ファイルなど形式化されていない「非構造化」されたデータをいかに充実させるかが重要だ。その中で、ERP上のデータは、構造化されたデータの主要な発生源となる。

これからは、AIで使うことを前提にERPを導入しなければならない。構造化データを機械学習させたり、非構造化データと結びつけて正しい情報を抽出したりできるように、企業にはクリーンなデータの入れ方が求められる。当社のERP導入支援はそこを中核にしている。

首藤佑樹(しゅとう・ゆうき)/慶応義塾大学大学院法学研究科卒業。金融系シンクタンクを経て2007年にデロイト トーマツ コンサルティング(当時トーマツ コンサルティング)に入社。2024年6月からチーフ・グロース・オフィサー。アジアパシフィックおよび日本におけるコンサルティングの事業成長責任者として、戦略・インダストリー・アライアンス・イノベーション・AIを含む先端技術などを統括(写真:記者撮影)

デロイトには「炎上案件」が多いのか

――ERP導入をめぐっては、昨年4月に江崎グリコで大規模障害が起こり、デロイトがその際の主幹ベンダーだったとされます。デロイトには「炎上案件」が多い、というイメージを持たれることも多いのでは?

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