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NHKが日本IBMを訴えた理由とは? 総額89億円の「堅牢なレガシーシステム」刷新プロジェクトをめぐるバトルの内幕

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今年2月、NHKは日本IBMを相手取り、約54億円の既払い金の返還と損害賠償を求めて東京地方裁判所に提訴した。その背景事情とは?(写真は東京・渋谷のNHK放送センター:show999/PIXTA)

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NHKは総額89億円あまりの営業基幹システムの開発プロジェクトをめぐり、日本IBMを相手取って総額およそ約54億7000万円の既払い金や損害賠償を求める訴訟を起こした。長年の利用によって複雑に作り込まれた「堅牢なレガシーシステム」をめぐるトラブルの中身に迫った。

「NHK側に瑕疵はない」と断言

「これまでの経緯を考えますとNHK側に瑕疵はなく、自ら選択した開発方式を突如否定して納期を守れないとした日本IBMの方に責任があるのではないかと考えています」

NHKの稲葉延雄会長は、2025年2月12日の定例記者会見で、記者からの質問にこう答えた。

NHKは2022年12月、受信料関係業務全般を支える「営業基幹システム」をクラウドサービスに刷新するため、日本IBMとの間で現行システムの使用期限である27年3月を納期とし、新システムの開発・移行業務を業務委託する契約を締結した。

ところがだ。契約締結から1年3カ月が経った24年3月、日本IBMから突然、「大幅な開発方式の見直しが必要になった」との話があり、5月になって「納期について1年6カ月以上延期してほしい」との申し出があったという。

これに対しNHKは事業継続に甚大な支障が生じるとして、契約に基づいて24年8月に日本IBMとの業務委託契約を解除。同時にそれまで支払った代金の返還を求めた。しかし返還されなかったため、2月3日に日本IBMを相手取り、総額54億7000万円の既払い金の返還と損害賠償を求めて東京地方裁判所に提訴した。

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