大企業を中心に遅れるシステムの「モダン化」。"DX後進国"日本で勢いに乗る総合コンサルの実態

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DXのイメージイラスト
(イラスト:髙栁浩太郎)
ITシステムの複雑化などにより、2025年以降年間で最大12兆円の経済損失が発生すると指摘されてから7年。生成AI全盛の中、日本企業には守りだけでなく攻めのDXも求められている。『週刊東洋経済』9月27日・10月4日合併号の特集は「崖っぷちのDX」だ。
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データやデジタル技術を活用し、業務そのものを変革する「デジタルトランスフォーメーション(DX)」。経済産業省は2018年、企業の抱える基幹システムが複雑化・ブラックボックス化することなどによって、維持・保守や機能改良が困難な状況に陥っていると警鐘を鳴らした。

レガシーシステムと呼ばれる高コストのシステムが残存することによる経済損失は、25年以降、最大年間12兆円(当時発生していた額の約3倍)になる可能性がある。これを「25年の崖」と呼ぶ。

日本では、まだ多くの企業にレガシーシステムが残っている。経産省の調査によると、ユーザー企業の61%にレガシーシステムがあり、中小企業より大企業の保有比率が高い。そもそも中小企業はIT投資が遅れがちなため、古いシステム資産を持っていないことが多い。オンプレミス(自社施設内でのシステム運用)からクラウドサービスやSaaS(サース)へ移行もしやすい。

大企業と中小企業の差

一方、大企業は数十年前から基幹システムを整備してきたため、社内の古いメインフレーム(大型コンピューター)やオンプレERP(統合基幹システム)などが今も現役だ。大企業と中小の差はそうした点が背景にある。

いざ25年となり、「崖」問題はどうなったのか。崖が25年に設定されたのは、ERPの最大手である独SAP製品の保守サポートが25年末で切れることがきっかけだった。サポートは移行の遅れを考慮して、27年末まで延長された。

だからといって安心できるわけではない。サポート終了によって、セキュリティーパッチや法改正対応の提供が停止されるのは時間の問題だ。レガシーシステムから脱却するには、経営層のコミットメントやシステムの可視化、内製化も早急に進めなければならない。

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