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ZOZOが肝煎りの3事業を突然停止…「マルチサイズ」などの受注生産サービスを10月以降に終了。会社側から詳細説明なし、背景に何があったのか?

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注力してきた受注生産サービスを突如停止したZOZO。停止の理由や再開見通しなどについて会社からの説明はない(撮影:今井康一)

「これまで多くの方にご利用いただきましたこと心より御礼申し上げます」――。

ファッションEC(ネット販売)「ZOZOTOWN(ゾゾタウン)」を運営するZOZOが、「Made by ZOZO」「マルチサイズ」「キヤスク with ZOZO」といった受注生産サービスを突如停止したことが、業界をざわつかせている。

10月下旬から11月にかけて、ZOZOは各サービスのインスタグラム公式アカウント上で冒頭のように投稿。利用者に対し、受注生産での販売を終了したことを発表していた。

サービス終了の理由は明らかになっていない。会社が対外的に発表したのはSNSの投稿のみで、サービスの再開見通しなどについて詳細な説明はないままだ。東洋経済の取材に対し、ZOZOは「当社サービスの公式SNSでお知らせしている通り、受注生産での販売を終了しております。現時点でそれ以上の詳細な回答は控えさせていただきます」との回答にとどめた。

受注生産で自分に合った服を提案

ZOZOはマルチサイズを2019年、Made by ZOZOを22年、キヤスク with ZOZOを24年に順次開始。いずれのサービスも、ゾゾタウンでの販売やゾゾスーツの開発などで培ったサイズデータや計測技術を生かし、アパレル企業からの受注生産を請け負う仕組みだ。商品開発から生産、ゾゾタウンでの販売、配送までをZOZO側が一気通貫で手がけ、TSIホールディングスやユナイテッドアローズといったアパレル企業が利用していた。

突然の事業停止はSNS上でのみ発表された(画像:ZOZOが展開するマルチサイズのインスタグラム公式アカウントより)

利用者や協業先に向けては、柔軟な商品開発ができる点や、社会的意義をアピールしていた。

マルチサイズでは、利用者が欲しい商品を選び、身長と体重を入力すると、最大56通りのサイズ展開の中から最適なサイズを提案。Made by ZOZOは、最低1着から受注生産を行い、最短10日での発送を可能とする生産支援プラットフォームをアパレル企業向けに提供する。

“インクルーシブウェア”の受注販売サービスであるキヤスク with ZOZOは、このMade by ZOZOのプラットフォームを活用している。身体障がいがある人も着やすいサイズや素材、ファスナーの位置といった細かい仕様の調整に対応。ブランド側はこうした仕様を選びながら商品開発し、ゾゾタウン上で販売できるサービスだ。

アパレルの長年の課題である大量生産・大量廃棄を減らせることに加えて、身体的特徴や障がいの有無にかかわらず、誰もが自分に合った服を着られることを掲げていた。こうした理念に共感して取引していたアパレル企業の関係者からは、落胆の声も上がっている。

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